以前に“【無断駐車】月極駐車場の無断駐車対策”と“【無断駐車】車の所有者を突き止める方法”という記事で、無断駐車に対する対策を書きました。対策をしていても無断駐車がすべてなくなるわけではありませんし、車の所有者を突き止めても実効性がなければ意味がありません。
そこで、弁護士を頼らずに本人訴訟をする場合を考えてみます。前回の記事で、無断駐車は不法行為(不法占拠)にあたり損害賠償請求ができる場合が多いことを書きました。今回は無断駐車を本人訴訟で解決の2回目です。
| 損害賠償はいくらくらいになるの?
無断駐車が不法行為にあたり、民法709条を根拠に損害賠償請求ができるとしても、いったいいくらくらいになるのでしょうか。
損害額の算定は駐車場オーナーがしなければいけません。そうしないと、訴訟を起こすための“請求の趣旨”の欄に記入できません。請求の趣旨は裁判所にどのような判決をして欲しいのかを書く部分です。“被告は原告に対して金5万円を支払え”などがあります。
さて、損害額ですが、おおむね周辺の駐車料金の相場になります。たとえば、近隣では1時間500円で時間貸しをしている駐車場が多い場合には、おおよそ500円/時が損害になります。無断駐車が15時間あったとしても500円×15時間=7500円にしかなりません。
ただ、無断駐車をされていたために利用できなかった駐車場の借主から損害賠償請求をされて支払っていたりしていると、その分も実損額として請求できると思われます。また、車両所有者を調査するためにかかった費用も請求できると思われます。
| 慰謝料の請求もできる?
駐車場への無断駐車を認めた過去の判例では慰謝料まで認められたものもありました。慰謝料の請求根拠は民法710条です。
民法710条(財産以外の損害の賠償)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
慰謝料(精神的損害)も“財産以外の損害”ですから、民法709条の不法行為が認められる場合には損害として賠償してもらえます。
精神的損害だと思われるものには、駐車場オーナーとしての利用者に対する謝罪の精神的負担などがあるかと思います。ただ、金額に換算しても数千円程度ではないでしょうか。
多くの場合、実損額と慰謝料を併せても1万円になるかどうかですね。
次回から損害賠償請求をする手続について書きたいと思います。
| まとめ
1 損害賠償額は多くは数千円程度!
2 慰謝料も併せて請求できる!
3 実損額と慰謝料を併せても1万円!?