宅建士試験の振り返り(2020年度12月)問11・12

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

今回から2020年12月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は借地借家法です。

 

 

| 2020年12月試験 借地借家法

 

まずは民法から振り返っていきます。受験をされなかった方はインターネット上で問題を探してみてください。

1 問11 正解肢4

借地借家法上の対抗力に関する問題です。条文と判例を問うています。基本的な問題です。

肢1 借地権の対抗要件

民法上賃借権の対抗要件は登記ですが、借地借家法では緩和されています。借地借家法では、借地の上に借地権者の登記された建物があれば対抗要件を有することになります。この登記は所有権などの権利登記だけでなく、表題登記であってもOKです。

肢2 借地権の対抗要件

借地上の建物が滅失したときは借地権の対抗要件は失われます。しかし、借地上に建物の特定事項、滅失日、建物を新造する旨を見やすい位置に掲示すれば、滅失から2年間は借地権の対抗要件を存続させることができます。また、滅失から2年のうちに建物を“新築”して“登記”をすれば2年を経過しても借地権の対抗要件を有することになります。登記がなければダメです。

肢3 転借人の対抗要件

対抗要件を具備した土地賃借人から建物を借りている転借人は、賃借人の借地権を援用して第三者に対抗することができます。

肢4 借地権の対抗要件の効力

一筆の土地上に複数の建物がある場合、1つの建物の登記があれば土地全体に借地権の対抗力が及びます。

2 問12 正解肢3

居住用建物の賃貸借契約に関する問題です。民法と借地借家法の規定、それに判例の内容を問うています。

肢1 賃貸人の修繕義務

賃貸人には賃借物の修繕義務があります。契約に定められている場合を除いて、賃借人が勝手に修繕をすることは原則としてできません。ただし、例外があります。(1)賃借人が賃貸人へ修繕の必要性を通知するか賃貸人が修繕の必要性を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に修繕をしないとき、(2)急迫の事情があるとき、の2つです。

肢2 転貸を理由とする解除

転貸には無断転貸と承諾転貸がありますが、無断転貸が背信的行為だと認められると賃貸借契約を解除できます。背信的行為と認められない場合には解除ができません。

肢3 賃貸借契約の更新

普通賃貸借契約は原則として更新がなされます。期間満了によって終了させるためには定期賃貸借契約を締結する必要があります。定期賃貸借契約は、(1)書面での契約、(2)契約の更新がない旨を記載した書面を交付して説明、の2つの要件を満たせばOKです。

肢4 内縁者による賃借権の承継

賃借人に相続人がいないまま死亡した場合には、事実上の婚姻関係や養子関係がある同居者は、賃借人の賃借権を承継します。ただし、同居者が賃借人に相続人がいないまま死亡したことを知ってから1か月以内に反対の意思表示をすれば承継されません。

 

 

| まとめ

 

1 借地借家法上の対抗要件は基本事項!

2 賃貸人には修繕義務あり!

3 無断転貸は背信的行為とは限らない!?



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