宅建士試験の振り返り(2020年度12月)問7・8

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

今回から2020年12月試験の問題を振り返ってみたいと思います。まずは民法から始めてまいります。

 

 

| 2020年12月試験 民法

 

まずは民法から振り返っていきます。受験をされなかった方はインターネット上で問題を探してみてください。

1 問7 正解肢2

売買契約の瑕疵に関する問題です。法改正なされたところを問われています。

肢1 契約不適合責任の通知

契約不適合責任を追及するための通知期間は1年間です。また、通知が必要なのは、売買目的物の種類又は品質が契約に適合しないときです。本肢では数量が契約に適合しない場合ですから、契約不適合責任を追及できるうえに通知は不要です。

肢2 契約不適合責任の帰責性

売買目的物の引渡しが行われていないので、債権者(買主)は債務者(売主)に対して契約不適合責任を追及できます。しかし、契約不適合責任は債務者に帰責性がない場合には追及できません。契約不適合責任では、履行の追完請求、代金減額請求、契約の解除、損害賠償請求ができます。

肢3 法定利率

法定利率は3%です。旧民法の5%から改正されました。

肢4 錯誤

錯誤の効果は取消です。旧民法の無効から改正されました。また、表意者(売主)に重過失がある場合には、原則として錯誤取消を主張できません。

2 問8 正解肢3

法定相続分に関する問題です。組合せ問題です。

肢ア 孫3人の法定相続分

孫だけが相続人の場合には代襲相続が行われます。長男の子と次男の子が相続人ですから、長男の子全員で遺産の1/2、次男の子全員で遺産の1/2を相続します。ですから、長男の子BとCはそれぞれ1.2億円×1/2×1/2=3,000万円、次男ここはDのみですから1.2億円×1/2=6,000万円を相続します。

肢イ 孫3人の法定相続分

肢アで書いた通り、BとCはそれぞれ3,000万円、Dは6,000万円を相続します。

肢ウ 祖父母3人の法定相続分

祖父母だけの相続ですから、代襲相続がなされません。単純に頭数で等分されます。ですから、E、F、Gはそれぞれ1.2億円×1/3=4,000万円を相続します。

肢エ 祖父母3人の法定相続分

肢ウで書いた通り、E、F、Gはそれぞれ4,000万円を相続します。

 

 

| まとめ

 

1 契約不適合責任の通知は数量不足では不要!

2 契約不適合責任追及は債務者に帰責性がなければ不可!

3 代襲相続は直系卑属の場合だけ!



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