宅建士試験の振り返り(2020年度12月)問1・2

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

今回から2020年12月試験の問題を振り返ってみたいと思います。まずは民法から始めてまいります。

 

 

| 2020年12月試験 民法

 

まずは民法から振り返っていきます。受験をされなかった方はインターネット上で問題を探してみてください。

1 問1 正解肢3

不法行為の問題です。民法の規定と判例の内容を問う問題です。

肢1 設計者や施行者の責任

当事者が契約を履行しなかったときは契約責任を問われます。不完全なモノを提供したときも同様です。債務不履行責任ですね。損害賠償請求や解除ができます。他方で、契約の相手方ではない第三者に対して損害を与えた場合には、不法行為責任を負います。損害を受けた第三者は損害賠償請求ができます。ですから、基本的な安全性が欠ける建物を設計したり施工したりしたときは、契約の相手方だけでなく建物の居住者に対しても損害賠償責任を負うことがあります。

肢2 使用者責任

被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を与えた場合、被用者が不法行為に基づく損害賠償責任を負うのは当然ですが、使用者も使用者責任を負います。被用者が損害を賠償したときには、損害の公平な分担の見地から、被用者は使用者に対して相当額を求償することができます。常に求償権が認められるわけでないことに注意してください。使用者責任はどのようなときにどのような結果になるのかをしっかりと学習してください。

肢3 責任無能力者の事故

事故を起こした認知症患者は事故の責任を負いません。ただし、認知症患者を監督すべき人は責任を負います。認知症患者の同居の配偶者は個々人の事情によっては責任を負わないことがあります。常に責任を負わないわけではないことに注意してください。

肢4 不法行為による損害賠償請求権の時効

人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、損害および加害者を知ってから5年間行使しないと時効によって消滅します。不法行為の時から20年間が経過しても損害賠償請求権は消滅します。

2 問2 正解肢1

代理に関する問題です。民法の規定と判例の内容を問う問題です。

肢1 代理権濫用による代理行為

まず初めに、この肢の道場人物はA・B・Dで、Cが登場しません。注意してください。原則として、代理人の内心は代理行為に影響をしませんので、代理行為は有効です。ただし、代理人が自己または第三者の利益を図る目的で代理行為をしていることを、相手方が知っていたり知ることができたりした場合には、相手方よりも本人を保護するために代理行為は無権代理行為になり無効になります。無権代理行為の無効は不確定な無効ですので、本人が追認した場合には有効になります。

肢2 双方代理

売主と買主の双方の代理になることを双方代理と言います。双方代理や自己契約は原則として無効です。ただし、債務の履行であったり本人があらかじめ許諾したりしていた場合は有効です。本肢の代理行為は例外にあてはまりませんので無効です。

肢3 代理権消滅後の代理行為

代理権が消滅した後の代理行為は原則として無効です。ただし、代理権が消滅したことについて相手方が善意無過失の場合には、表見代理が成立して有効になります。つまり、表見代理が成立すれば売主は買主に土地を引き渡す責任が生じます。

肢4 代理権授与の追認による代理行為

代理人は代理権のない土地を売却していますので原則として無効です。ただし、本人が追認をすれば契約のときから有効になります。表見代理ではありませんので間違えないようにしてください。表見代理は民法にある3つだけです。(1)代理権授与表示による表見代理、(2)権限外の行為による表見代理、(3)代理権消滅後の表見代理です。本肢では“追認の時から”と書かれていますので誤りです。

 

 

| まとめ

 

1 使用者責任は不法行為責任の一種!

2 認知症患者の起こした事故に責任なし!

3 無権代理行為の追認と表見代理行為は別!



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