行政書士試験の振り返り 問題2・3

2020年も11月8日(日)に行政書士試験が行われました。合格発表は2021年1月27日(水)です。合格発表まであと少しですね。受験された方は解答速報でおおよその自己採点ができているかと思います。気が気でない方もいらっしゃるでしょう。

そこで、2020年の行政書士試験の問題を振り返ってみたいと思います。記述式が終わりましたので、択一式の問題を考えていきます。著作権に引っかかる問題は除外します。

 

 

| 問題2 正解肢4

 

簡易裁判所に関する問題です。正しい肢の組合せ問題です。ア・ウの肢1とウ・エの肢4で迷うかもしれません。

肢ア 簡易裁判所の権能

刑事事件では、簡易裁判所は原則として禁固以上の刑を科すことができません(裁判所法33条2項本文)。禁固刑以上の刑には、禁錮刑、(有期・無期)懲役刑、死刑があります。ただし、一部の罪については例外的に3年以下の懲役を科すことができます(裁判所法33条2項ただし書)。これらの制限を超える刑を科すときは、簡易裁判所は地方裁判所へ事件を移送しなければいけません(裁判所法33条3項)。知識で解答できますが、難しい肢です。

肢イ 民事事件の訴訟代理

簡易裁判所の訴訟代理は司法書士に与えられています。行政書士はできません。知っておきたい知識です。

肢ウ 民事訴訟の提訴

簡易裁判所での民事訴訟の提訴は書面でも口頭でもすることができます。知っておきたい知識です。

肢エ 少額訴訟の制限

少額訴訟は同一裁判所での年間の提訴回数に制限があります。10回/年だそうです。知らなくても仕方がない知識です。

肢オ 支払督促

支払督促をするのは裁判所の判事ではなく裁判所書記官です。裁判所には判事(裁判官)、裁判所書記官、裁判所事務官がいます。知っておきたい知識です。

 

 

| 問題3 正解肢1

 

未決勾留に関する問題です。空欄補充問題です。ちなみに“勾留”と“拘留”は異なります。勾留は裁判が確定するまでの一定期間身柄を拘束すること、拘留は刑罰の一種で一定期間刑務所や留置場などに収監することです。

空欄ア 居住

未決勾留は逃亡や罪証隠滅の防止を目的として監獄内で身柄を拘束することです。解答の選択肢とし“居住”と“活動”があります。“被疑者又は被告人のアを監獄内に限定する”とありますので、国語的にはどちらが入ってもおかしくなさそうです。ここだけでは絞り切れないと思います。

空欄イ 身体

勾留によって拘禁されると身柄は監獄内に拘束されます。選択肢には“身体”と“日常”がありますが、身柄を拘束するわけですから“身体”的行動を制限されることになります。

空欄ウ 合理

逃亡や罪証隠滅を防止するという目的によって、身体的行動の自由が制限されるだけでなく一定の範囲内で行為の自由が制限されます。選択肢には“合理”と“蓋然”があります。身体の拘束による行動の制限は、逃亡・罪証隠滅防止という目的に照らして“合理”的な範囲に限定されます。“蓋然”的な範囲ではありません。“~するおそれがあるから”という理由だけでは自由を制限できません。

空欄エ 隔離

この空欄は難しいです。国語的に答えを出します。選択肢は“隔離”と“遮断”です。監獄では多数の被拘禁者を外部から影響を受けないように管理をしています。被拘禁者と外部とを隔てる役割をしています。“隔離”は他から離して隔てることで、“遮断”は音や熱などを遮って止めることです。“外部からエして収容する施設”とありますから、遮るというよりも隔てると考えた方が自然です。

空欄オ 蓋然

被拘禁者は外部から隔離するために図書等の閲覧の自由が制限される場合もあります。制限されるのは、閲覧を許すことで監獄内の規律や秩序を維持するうえで放置できない程度に障害が発生するおそれがあり、制限の程度は障害発生の防止のために必要かつ合理的な範囲にとどまるとされています。選択肢は“蓋然”と“合理”があります。障害が発生するおそれがあることが要件になっていますから、“障害が生ずる相当の蓋然性”となります。憲法や民法の判例などを読んでいるとよく“相当の蓋然性”という言葉が出てきますから、“相当の”と言われたら“蓋然性”と答えられると簡単に解けます。

 

 

| まとめ

 

1 少額訴訟の提訴には回数制限あり!

2 空欄補充問題は国語的な意味も考えて!

3 問題2も問題3も解きにくい問題かも!



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