国会については前回で終わりました。今回からは行政権について書いていきます。ちょうど切りがよく10月1日ですね。行政権は三権分立の一角を担っています。立法権が国会に属していたのと同じように、行政権は内閣に属します。そもそも行政権っていったいなに?というところから書いていきたいと思います。
| 行政権ってなに?
行政権は内閣に属します。行政は国会が決めた法律や予算に基づいて施策を実行する部門です。たとえば、社会福祉、教育、警察、道路の建設などを行っています。
憲法 65条
行政権は、内閣に属する。
行政のすることは法律の実際の運営ですから、あまりにも範囲が広いです。行政権は、すべての国家作用から立法作用と司法作用を除いたものだとされています。ですから、どこに属するか分からない作用は行政権に属することになります。
行政の仕事はとても多いですから内閣だけではこなせません。そこで、行政組織が作られました。内閣の下には各省や庁、内閣府、委員会、審議会、内閣官房、内閣法制局などがあります。
ところが、行政機関であるにもかかわらず独立性が認められている部署があります。それが独立行政委員会です。独立行政委員会には、人事院、国家公安委員会、公正取引委員会などがあります。
独立性が許されている独立行政委員会は、“行政権は内閣に属する”とした65条に反しないのでしょうか。
結論から言いますと、独立行政委員会は65条に反しないとするのが通説です。それには2つの考え方があります。
1つは、独立行政委員会は内閣のコントロール下にあるから合憲だとする見解。もう1つは、憲法は内閣にすべての行政の指揮監督権を要求していないから合憲だとする見解です。どちらの見解にしても合憲なのですから特に問題はありません。
| 内閣の中身
内閣は内閣総理大臣とその他の国務大臣で組織された合議体です。国務大臣は内閣総理大臣が任命します。最近では菅総理大臣が第99代総理大臣として誕生しましたが、大臣の人事について多くの報道がありました。
国務大臣は原則として14人以内で、必要があれば17人以内と定められています。国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばれます。
憲法 66条
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
憲法 68条
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
また、内閣総理大臣と国務大臣は文民でなければいけません。文民とは職業軍人や自衛官以外の人のことです。軍部が暴走したと言われる第二次世界大戦への反省が込められているそうです。
憲法 66条
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
内閣総理大臣については次回に書きたいと思います。
| まとめ
1 行政権は立法権と司法権以外の全部!
2 大臣の過半数は国会議員!
3 職業軍人や自衛官は大臣になれない!