行政書士試験の憲法(人身の自由5)

前回は人身の自由のうち被疑者の権利を1つずつ書きました。被疑者には不当に逮捕されない自由、不当に抑留・拘禁されない自由、所持品・住居の不可侵などの権利がありました。今回は被告人の権利について書きたいと思います。

 

 

| 公平・迅速・公開の裁判を受ける権利

 

公平な裁判所ってなに?迅速な公開裁判ってなに?と色々と疑問がわいてきますが、行政書士試験ではこの辺りは詳しくなくても大丈夫です。公平、迅速、公開を満たすための要件を覚えておけば大丈夫です。

 

憲法 第37条

すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

 

公平、迅速、公開を満たすための要件は次のようになります。

1 公平な裁判所

裁判官が公平な第三者として予断を排除して判断することが必要です。そのために裁判官の除斥、忌避、回避の制度があります。

(1)除斥

除斥は、一定の事由がある場合にはその裁判官は当該職務から排除されることです。たとえば、被告人が裁判官の親族であるような場合です。

(2)忌避

忌避は、検察官などの申立てでその裁判官が当該職務から排除されることです。たとえば、被告人と個人的な知り合いであるような場合です。

(3)回避

回避は、その裁判官が自ら当該職務から外れることです。除斥される一定の事由があるわけでもなく、検察官などからの申立てはないけれど、自ら進んで担当から外れるときが回避です。

2 迅速な裁判

起訴されてから何年も拘留されたままで一向に裁判が進まないと、被告人はいつまでも中途半端な状態になってしまいます。そのため、素早く審理をして不当な遅延のない裁判を受ける権利があります。

3 公開裁判

公開裁判は、裁判の全てが公開されることを意味していません。判決だけが公開の法廷で行われればよいことになっています。書類の証拠調べや証人などの証拠調べは公開されていなくてもかまいません。被害者のプライバシーに関することなど公開の法廷で行わない方がいい証拠調べもあるからです。

 

 

| 証人尋問権、喚問権

 

被告人には、証人を審問する権利と証人を法廷へ呼び寄せる権利があります。憲法37条第2項です。

 

憲法 第37条

2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

 

上部を読むと、“又”の部分で2つに分かれることが分かります。1つは証人を審問する権利、もう1つは証人を法廷へ呼ぶ権利です。

証人は裁判所で発言をする場合にウソをつかないという宣誓をします。故意にウソをつくと偽証罪に問われることになります。そのような場で、被告人(の代理人)が証人に対して質問をして、証人の回答に対して被告人(の代理人)の言い分を聞く機会が与えられています。

この手続がないと、証人の証言は証拠として認められないことになります。

証人を法廷へ呼ぶ権利は、被告人にとって有利な証言をしてくれる証人に法廷で発言してもらうために認められています。証人を呼ぶ費用は国が負担します。公費で負担はしますが、有罪になった場合には訴訟費用として被告人に請求されることがあります。

 

長くなりましたので、続きは次回にします。

 

 

| まとめ

 

1 公平・迅速・公開裁判を受けるのは被告人の権利!

2 証人の証言に対して被告人も発言できる!

3 証人は国が一時的に費用を負担して呼び寄せます!



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