高度プロフェッショナル制度ってなに?

前回まで働き方改革に関連して変形労働時間制とみなし労働時間制についてまとめました。最近話題になった働き方改革の1つとして高度プロフェッショナル制度があります。2019年に可決されましたので、この制度を利用している方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、高度プロフェッショナル制度についてまとめたいと思います。

 

 

| 高度プロフェッショナル制度ってなに?

 

高度プロフェッショナルは“特定高度専門業務・成果型労働”のことで、収入が1,075万円以上の専門職で、労働賃金が成果で評価される制度です。“残業代ゼロ法案”として話題になった働き方改革関連法案の1つです。

高度プロフェッショナル制度の対象になるのは、対象業務に従事する労働者のうち労使委員会の議決に書面等で同意をした者です。

この制度が適用されると、労働時間、休憩時間、休日、深夜の割増賃金について労働基準法の適用が除外されます。割増賃金になる時間外労働、休日労働、深夜業が除外されますので、残業代がなくなります。

 

 

| 対象業務や対象労働者は?

 

高度プロフェッショナル制度で対象になる業務は、高度の専門的知識などを必要とし、業務の性質上、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務です。認められている業務は次の5つです。

1 金融商品の開発業務

2 金融商品のディーリング業務

3 アナリスト業務(企業・市場等の高度な分析業務)

4 コンサルタント業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)

5 新たな技術・商品等の研究開発業務

また、対象者は、次のどちらにも該当する労働者です。

1 使用者との書面等による合意に基づき職務が明確に定められていること

2 賃金の見込み額を1年間あたりの賃金額に換算した額が、基準年間平均給与額の3倍の額に相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること

分かりにくいですが、簡単にすると高度プロフェッショナル制度が適用されることを書面等で合意していて、年収が1,075万円以上(2020年8月現在)の労働者が対象になります。かなりの高額所得者ですね。

 

 

| 手続はどうするの?

 

高度プロフェッショナル制度を適用するためにはいくつかの手続きが必要です。

1 労使委員会での4/5以上の多数による賛成

2 労働基準監督署への届出

3 適用する労働者との書面等による合意

4 労働基準監督署への6か月ごとの報告

労使委員会での主な決議事項は次のとおりです。

・対象業務

・対象労働者となる者の範囲

・健康管理時間(労働時間)を把握する措置を使用者が講ずること

・104日/年以上、かつ4週間に4日以上の休日を与えること

・休憩時間や休日等について選択的措置のいずれかの措置を講ずること

・健康管理時間(労働時間)に応じた健康・福祉を確保するため有給休暇の付与、健康診断の実施、代償休日の付与、配置転換、産業医等による保健指導などのうち決議で定めるものを講ずること

・対象労働者の同意の撤回に関する手続

・苦情の処理に関する措置を講ずること

・同意のない対象労働者に対して解雇その他不利益取扱いをしてはならないこと

・決議の有効期間(厚生労働省令で定める事項)

・自動更新されない旨(厚生労働省令で定める事項)

・対象労働者の記録を有効期間満了後5年間保存すること

休憩時間や休日などについて選択的措置ですが、次の4つのうちのいずれか1つの措置を講じなければいけません。

1 労働者ごとに始業から24時間を経過するまでに11時間以上の継続した休息時間を確保すること、かつ、深夜時間帯の労働させる回数を4回/月以内にすること

2 健康管理時間(労働時間)が40時間/週を超えた時間について、100時間/月かつ240時間/3か月を超えないものとすること

3 1回/年以上の継続した2週間の休日を与えること(年次有給休暇を除く)

4 健康管理時間(労働時間)が40時間/週を超えた場合、超えた時間が80時間/月を超えた労働者や申し出のあった労働者に、一定の健康診断を実施すること

会社としては健康診断の実施が最も負担の少ない措置かもしれませんね。健康管理時間は、事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間との合計時間です。いわゆる労働時間のことです。

 

 

| まとめ

 

1 高度プロフェッショナル制度の適用者は高給取り!

2 業務内容は限定的!

3 休日は年間104日以上が必要!



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