預り金は魅力的！？

北海道の行政書士が業務上横領の疑いで逮捕されました。遺産相続の業務で預かった通帳内の金銭と現金を併せて3400万円を横領した疑いです。現在は警察が事件の経緯や動機を調べているそうです。

預かったお金はそれほど魅力的に見えるのでしょうか。

 

 

｜　行政書士が逮捕された経緯

 

今回逮捕された行政書士は、2016年3月に相続財産を管理していた親族から現金100万円と3300万円の残高がある預金通帳を預かったそうです。この親族は亡くなった90代の男性の相続財産を管理していたそうです。

おそらく行政書士に遺産分割協議書の作成などを依頼したのでしょう。遺産分割協議書の作成には法定相続人と遺産の確認が必須ですので、“財産の目録を作成するため”や“遺産の管理の代行”などとして預かったのでしょうか。

逮捕された行政書士は、依頼を受けた当時は北海道に住んでいたようですが、遺産を預かった後に千葉県に転居していたそうです。行政書士と連絡が取れなくなった親族が口座を確認すると現金が引き出されていました。

2018年12月には、親族は警察に“遺産が相続されない”と相談したとのことです。預けていた遺産がなくなっていたのでしょうから、親族はびっくりしたでしょうね。

およそ1年間の捜査の結果、行政書士が関与した疑いが強まって千葉市で逮捕したようです。行政書士は横領したことを認めた上で、横領するつもりはなかったと供述しているようです。

 

 

｜　預かったお金は魅力的？

 

行政書士以外でも預かったお金を横領したニュースは多くあります。2020年2月になってからだけでも、次のようなニュースが流れました。

１　岡山県で町内会費を着服

2018年8月に会計役員だった容疑者が金融機関のATMで町内会の名義の口座から現金5万円を引き出して着服した疑いです。被害総額は約300万円だそうです。

２　埼玉県でラグビー協会の現金を着服

2017年8月～2018年4月に、ラグビー協会の預金口座から引き出した現金計21万円を着服した疑いです。発覚を免れるために協会の帳簿を改ざんしていたそうです。

３　三重県で郵便局員が着服

2008年12月から約11年にわたって顧客の預金口座から無断で現金を引き出して着服した疑いです。合計で約2160万円にもなるそうです。

４　東京都でIT関連会社の経理担当が着服

2018年10月頃に会社名義の預金口座から数回にわたって現金約1000万円を払い戻して横領した疑いです。2018年までの3年間で数千万円の着服をした可能性があるそうです。

５　埼玉県でタクシー会社の売上金を着服

2019年9月に売上金43万円を着服し横領した疑いです。逮捕当時は別件の起訴拘留中で、消費者金融の借金で困っていたそうで着服したお金は生活費に充てたと話しているようです。

６　広島県で金融機関行員が着服

2019年8月に顧客から預かった500万円を横領した疑いです。渉外担当として勤務しており、女性の家を訪問して口座入金のための現金を預かったにもかかわらず入金処理をしなかったようです。

７　千葉県で労働組合の預金を着服

2014年5月～2018年1月に労働組合名義の口座から自身の口座に計約2億8600万円を振り込んで横領した疑いです。馬術競技用の馬6頭の購入や管理費に充てたり車やバッグを購入したりしていたそうです。

８　鹿児島県で副町長が着服か

2015年11月に東京出張の際に宿泊と往復航空券のセットを利用したにもかかわらず別途町に宿泊料の仮払いを請求し計2万1800円を受け取ったそうです。業務上横領や詐欺などの容疑で住民から刑事告発されています。

９　沖縄県で社会福祉士が着服

2019年2月に認知症患者に変わって財産管理を行う保佐人の立場を利用して認知症患者の口座から現金122万円を引き出して横領した疑いです。5年間保佐人を務めたあと解任され、後任の弁護士が調査して使途不明金が見つかり事件が発覚したそうです。

 

ざっと挙げただけでも、この1か月の間でこれだけの事件がニュースになっています。横領事件に多い動機として、 “遊ぶお金が欲しかった”などの私利私欲型、“生活が苦しかった”などの家族型、“解雇した会社が憎かった”などの会社私怨型があります。

最近増えてきているのが家族型だそうで、給料の減額、家族の大病、リストラなどが原因で横領する事件です。

会社は従業員のプライベートを完全に把握することはできませんが、会社への八つ当たりが横領という行為に及ぶ可能性があることも留意しておきたいところです。

 

 

｜　まとめ

 

１　行政書士が相続財産を横領した疑いで逮捕！

２　町内会費や労組の預金などの着服事件も！

３　横領の動機は“家族のため”が増加中！？