新型コロナウイルスの感染が拡大していますね。マスクは薬局もコンビニも売り切れ状態です。厚生労働省によりますと日本での感染者は2020年2月26日で陽性が確認された人は164名、うち症状のある人は147名だそうです。死亡者が1名いらっしゃいます。クルーズ船での発生状況は、陽性を確認された人が691名もいらっしゃいます。
会社としては、いつ従業員が感染するか分かりません。感染した場合や感染が疑われる場合にはどのような対応をとったらよいのでしょうか。
| 労働者への就業禁止命令
新型コロナウイルス感染症は国から指定感染症に指定されました。感染が分かると、都道府県知事が就業制限や入院などの勧告を行うことができます。
ただ、潜伏期間がありますので、高熱等の症状があったとしても新型コロナウイルス感染症なのかインフルエンザなのか判断ができません。潜伏期間は14日と言われていますね。
従業員の体調が悪い場合、従業員自身はすぐに会社を休まないでしょうし、同居の家族が感染したと分かってもすぐに休むとは限らないでしょう。
従業員が自主的に休む場合は、病気休業扱いになります。就業規則などに病気休業の規定があれば、その規定に従います。従業員が有休を取得する旨の申告があれば、有給として処理すればよいと思います。
他方で、会社としては感染拡大を予防しようとすると、感染をした従業員に対して就業禁止命令を出すことになります。この場合にも有休と同じように給与を出さなければいけないのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症に感染した場合、厚生労働省によれば休業手当の支払いは必要ないようです。“使用者の責めに帰すべき理由による休業に該当しない”からだそうです。
従業員への福利厚生としては、新型コロナウイルスの感染が確定したら健康保険の傷病手当金を申請して標準報酬日額の2/3を受給することになると思います。
| SARSの場合はどうだった?
2002年の秋に中国で発生したSARS。まだ覚えている方は多いかと思います。8000名以上の方が感染し770名以上の方がなくなりました。原因はコロナウイルスです。流行が終息したのが2003年7月でした。最終的に日本での感染者はいなかったとされています。
また、2012年にはMERSが中東地域で流行しました。こちらも日本での感染者はいなかったようです。こちらの原因もコロナウイルスでした。
SARSやMERSのときの企業の対応はどうだったのでしょうか。実は問題提起がされただけで、そのうちに終息しましたから議論は深められませんでした。
同居の家族が感染したとしても従業員が必ず感染するとは限りませんし、もし感染していないのに就業禁止命令を出して休業させると“事業者の責めに帰すべき”休業になってしまいます。そうなると休業手当の支払いが必要になります。
休業手当の支給でよいのか、通常の賃金の支給をしなければいけないのかといった難しい問題は答えが出ないままに終息しましたので、SARSのとき対応は今回の新型コロナウイルス感染症での対応では参考にできません。
会社の対応としては、就業規則を自社の状況に合うように改善して様々な事態に備える規定を作っておくと安心です。予想外の事態にも対応できるように柔軟な対応が可能な規定がよいですね。
| まとめ
1 新型コロナウイルスに感染すると就業制限の勧告!
2 感染して休業しても休業手当は不要!
3 SARSのときは解決前に終息!