外国人が日本に上陸しようとする場合、原則として入国審査官による上陸許可の審査を受けます。上陸許可を受けるとパスポートに証印を押してもらえます。上陸審査を受けないと不法上陸罪に問われることになります。
ところが、入国時にビザが有効でないと不法上陸罪ではなく不法入国罪に問われる可能性があります。
| 外国人が日本で活動するためのハードル
外国人が日本で活動するには大きく2つのハードルがあります。1つは適法に入国すること、もう一つは上陸許可を受けることです。
日本で活動するためには、在留資格に応じた色々な条件をクリアしなければいけません。まずは、多くの在留資格に共通する条件・審査を挙げます。
1 有効なパスポート(旅券)を所持していること(入国条件)
有効な旅券を所持せずに日本の領域(領土・領海・領空)に入った場合、上陸する以前であっても不法入国罪に問われる可能性があります。入管関係の業界では“入国”と“上陸”は厳密に分けられているようです。
2 上陸許可の証印などを有していること(上陸審査)
上陸が許可されるためには様々な審査をクリアしなければいけません。審査内容は次の項目で簡単に書き出します。
| 上陸許可の審査内容は多種多様
上陸の許可を受けるには例として次のような条件があります。日本の産業や国民生活に影響を与えるかどうかが審査されます。語弊があるかもしれませんが、簡単に省略して書いています。正確ではありませんのでご了承ください。
1 ビザ(査証)が有効であること
2 日本での活動が虚偽でないこと
3 在留期間が間違っていないこと
4 指定感染症などに罹患していないこと
5 日本で生活ができないおそれがないこと
6 1年以上の懲役・禁固の刑罰を受けていないこと
7 麻薬や覚せい剤などで刑罰を受けていないこと
8 売春等の業務に従事したことがないこと
9 人身取引等をしたことがないこと
10 銃器・刀剣等を不法に所持していないこと
11 薬物や銃器の規定で上陸を拒否された場合は1年超の期間が経過していること
12 退去強制されてから10年超の期間が経過していること
13 出国命令を受けずに退去強制されてから5年超の期間が経過していること
14 出国命令を受けてから1年超の期間が経過していること
15 一定の罪で懲役・禁固の判決が確定してから5年超の期間が経過していること
消極的な条件で犯罪がらみが多いですが、日本で生活する資金がない場合にも上陸することが拒否されてしまいます。
これら以外にも、在留資格に応じて様々な上陸基準があります。
| 在留資格ごとの上陸基準
在留資格ごとに色々な上陸基準が設けられています。外交や芸術、短期滞在(観光など)、永住者・定住者など個別の上陸基準がない在留資格もあります。
ここでは、一般的な在留資格である“技術・人文知識・国際業務”について見てみたいと思います。
“技術・人文知識・国際業務”の在留資格は、自然科学や人文科学の技術や知識を要する業務、翻訳や通訳などの外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に就く場合に取得します。ただし、教授・芸術・報道・経営管理・法律会計・医療などの在留資格の取得要件に該当する場合は“技術・人文知識・国際業務”の在留資格を取得できません。
1 自然科学・人文科学の技術や知識を必要とする業務に就く場合(どれか1つ以上に該当)
(1)関連科目を専攻して大学を卒業していること(同等以上の教育でも可)
(2)関連科目を専攻して日本の専修学校の専門課程を修了し専門士の称号を得ていること
(3)10年以上の実務経験を有すること
2 外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に就く場合(すべてに該当)
(1)翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾のデザイン、商品開発などに従事すること
(2)3年以上の実務経験を有すること(大学卒業者の翻訳・通訳・語学指導を除く)
3 日本人の報酬と同等額以上の報酬を受けること
学歴や実務経験期間の条件が厳しいですね。在留資格の条件をクリアしないと、在留資格がもらえないだけでなく上陸そのものができなくなります。在留資格は日本に上陸するための条件の一つです。
| まとめ
1 日本で活動するためには条件がたくさん!
2 罪を犯していると日本への上陸は困難!
3 在留資格ごとに細かな上陸基準があります!