2019年行政書士試験 行政法検討 (問題10~問題11)

2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。

合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一だけを検討をする予定でしたが、記述式についても書きたいと思います。

今回は、2019年の問題10、問題11です。行政法は苦手なのでつたない検討になりますがご了承ください。

 

 

| 行政書士試験の行政法検討(問題10~11)

 

行政法の択一は問題8~26の19問です。選択式は問題42と問題43の2問です。記述式は問題44の1問です。択一式の問題数が多いですね。

 

【問題10】

海面の所有権と埋立地の時効についての問題です。組合せ問題です。誤っているものを選びます。

問題10は民法と過去問の知識で解ける問題です。判例を題材にしていますので、前から順番に読んで判例の流れを大まかに把握していく事が大切です。

判例は大きく2つに分かれています。(1)では海の所有権に関すること、(2)では公有水面埋立法による時効についての問題です。

(1)海の所有権について

ご存知の方は多いかもしれませんが、日本では海を個人の所有物にはできません。問題の判例によりますと、現行法上、海水に覆われたままの状態では一定範囲を区画して詩人の所有に帰属させるという制度は採用されていないとのことです。

また、海を埋め立てて埋立地になったとしても、原則として、埋立権者が所有権を取得するまで土砂は海面下の地盤に付合せず、独立した動産のままです。

ということで、アは所有権で間違いありません。

(2)公有水面埋立法による時効について

埋立地が長年にわたって事実上公の目的のために使用されずに放置されていて、公共用財産として機能していない状態では、平穏かつ公然に埋立地の占有を継続した者は時効取得するのかが問題になります。マンションの下を通っていて実際には使われなくなった里道と同じ状態ですね。異なるのは、埋立地はそもそも私人の所有権を観念できないことでしょうか。

判例では、占有によって公の目的が実際に害されることなく公共用財産として維持すべき理由がなくなったときは、もはや公用水面に復元されることなく私法上の所有権の客体となる土地として存続することが確定すると言っています。

公共用財産としておく意味がなくなっていますから、はっきりと公用が廃止されていなくても黙示的に公用が廃止されたと考えてよいと思われます。司法上の所有権の客体となる土地の公用が廃止されると、取得時効の対象になるのは当然ですね。

ということで、イは公共用、ウは占有、エは黙示的、オは取得時効です。誤っているのはエとオになります。

 

【問題11】

行政指導に関する問題です。正しいものを選びます。完全な条文問題です。

1 行政指導の中止を聞いています。行政指導が法律の要件に適合しない場合には、行政指導をした行政機関に対し行政指導の中止を求めることができます。ただし、行政指導に相手方が従うかどうかは任意ですから、行政指導の中止を求めることができるのも相手方だけです。

2 行政指導の定義を問うています。行政指導は特定の者を対象にするものです。

3 地方公共団体の機関がする行政手続法の適用範囲を問うています。適用範囲は、処分、行政指導、届出、命令等ですが、適用除外があります。処分と届出については、根拠規定が条例・規則のもののみに適用されます。法律に基づく処分や届出については行政手続法が適用されません。行政指導には適用除外はありません。

4 行政指導が高騰でされた場合は、相手方が書面を求めたときは交付しなければいけません。ただし、行政上特別の支障がある場合には交付をしなくてもかまいません。

5 行政指導指針の制定時に意見公募手続が取られる理由について問うています。私は知りませんでした。実際には法律等に根拠がない行政指導指針も策定されています。そして、公表されている行政指導指針は意見公募手続が取られています。法律等に根拠がない行政指導指針も公表されていますから、意見公募手続が取られていることになります。

 

 

| まとめ

 

1 埋立地であっても時効取得する可能性があります!

2 公共用財産は黙示的に公用が廃止されることがあります!

3 行政書士試験では行政指導の適用範囲は丸暗記が必須!



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