2019年行政書士試験 行政法検討 (問題8~問題9)

2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。

合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一だけを検討をする予定でしたが、記述式についても書きたいと思います。

今回は、2019年の問題8、問題9です。今回から行政法の検討をします。行政法は苦手なのでつたない検討になりますがご了承ください。

 

 

| 行政書士試験の行政法検討(問題8~9)

 

行政法の択一は問題8~26の19問です。選択式は問題42と問題43の2問です。記述式は問題44の1問です。択一式の問題数が多いですね。

 

【問題8】

行政上の義務の履行確保の手段に関する問題です。正しい肢を選びます。行政上の義務の履行確保の手段はたくさんありますが、行政書士試験を受験するには避けて通れないところです。

大まかに整理しておきます。

(1)行政上の強制執行

行政代執行:代替的作為義務の不履行、費用を義務者から徴収

直接強制 :義務の不履行、身体・財産に実力行使

執行罰  :行政上の義務の不履行、予告必要

強制徴収 :滞納者に対する処分

(2)間接強制

行政刑罰  :行政上の義務違反、司法手続き

過料    :金銭の徴収、刑罰ではない

通告処分  :国税法違反、公訴不要

交通反則通告:道路交通法違反、公訴不要

放置違反金 :道路交通法違反、違法放置車両の使用者

(3)その他

公表  :行政上の義務違反

行政サービスの拒否:行政上の義務違反

課徴金 :違反行為による利益の徴収

即時強制:緊急時の実力行使、義務不要

以上です。それでは肢を見てみましょう。

1 即時強制は義務を前提としません。“行政上の義務を速やかに履行させる”という部分が間違いです。消防法に有名な規定があります。2011年度の記述式(問題44)にも出題されたことがありますね。

2 直接強制が規定されているのは行政代執行法ではありません。たとえば感染症予防法の措置入院があります。

3 代執行は、法律により課された義務違反の場合はもちろん、条例により課された義務違反の場合も、行政代執行法に基づいて執行が可能です。別途根拠条例が必要になるわけではありません。

4 秩序罰は、義務違反者を対象にしますが刑法上の罰ではありません。訴訟事件ではなく非訟事件です。非訟事件であっても裁判所が秩序罰を科します。

5 反則金の納付通知に不服がある場合、刑事手続で無罪を主張することができます。納付通知が行政処分かどうかですが、反則金制度は反則金の納付の機会を与えることで刑事訴追を免れることができるものです。ですから、反則金の納付通知に強制力はなく、一種の行政的な措置による制裁金とされています。行政処分ではありません(裁判例)。

 

【問題9】

行政組織に関する問題です。正しい肢を選びます。

1 内閣掃除利大臣が各省大臣を兼務することは可能です。過去4度行われたそうです。直近では1994年の羽田内閣組閣時に一人内閣になったようです。

2 命令や示達をするために期間や職員へ発するのは“告示”ではなくて“通達”です。“告示”は、行政機関が一定事項を広く国民に周知させる行為のうち、法令、条令、規則に基づいて公示するものをいいます。“公示”は、行政機関が一定事項を広く国民に周知させる行為であることは“告示”と同じですが、法令、条令、規則に基づかないで、単に一定の事実を公表することをいいます。“通達”は行政機関内部の命令。・示達です。

3 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出します(憲法72条)。各省大臣は、閣議の主催者である内閣総理大臣に法律・政令(改正)案を提出して、閣議決定を求めます。内閣は、閣議に基づいて職権を行使する合議体です。ですから、各省大臣は、閣議決定がなければ勝手に国会へ法案等を提出することはできません。

4 各省大臣が機関の命令として発するのは“規則”ではなく“省令”です。政府が出す命令は“政令”、省が出す命令は“省令”となります。

5 内閣総理大臣が行政各部を指揮監督します。憲法72条に書かれています。行政法の問題というよりも憲法の問題ですね。

 

 

| まとめ

 

1 行政上の義務の履行確保手段は行政書士試験では重要分野!

2 即時強制は義務を前提としない点に要注意!

3 内閣については憲法や内閣法などを関連させて!



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