2019年宅建士試験 民法検討 (問11)

2019年の宅地建物取引士試験の合格発表が12月4日にありました。試験問題が公表されましたので、検討してみたいと思います。みなさんが苦手な民法です。

民法の点数が安定すると試験合格がぐっと近づきます。来年の試験まで10カ月ありますから、焦らずじっくりと基礎固めをしていきましょう。

今回は、2019年の問11です。

 

 

| 宅建士試験の民法検討 (問11)

 

今回もどんどん前に進めます。

 

【問 11】

借地権の問題です。民法と借地借家法が関係しています。正しい肢を選びます。この問題は勉強していなければ解けない問題だと思います。

借地権(賃貸借)の期間、契約方法を整理しておきます。

民法:最長20年、下限なし、口頭でもOK

借地借家法(建物所有目的のみ)

(1)普通借地権:最短30年、上限なし、口頭でもOK

(2)一般定期借地権:最短50年、上限なし、書面必須

事業用定期借地権:最短10年、最長50年、公正証書必須

建物譲渡特約付借地権:最短30年、上限なし、口頭でもOK

定期借地権はややこしいです。表を作って覚えましょう。考える必要があるパターンを場合分けします。

契約期間が50年の場合:民法、普通借地権、一般定期借地権、事業用定期借地権

契約期間が15年の場合:民法、普通借地権、事業用定期借地権

では、さっそく肢を見ていきます。

1 建物所有目的ではありませんので、借地借家法の適用はありません。民法だけで考えます。契約期間が50年の場合には20年に短縮されます。契約期間15年の場合には15年のままです。

2 建物所有目的ですので、借地借家法が適用されます。民法は適用されません。公正証書で契約をしていないとのことですので、公正証書が必要な事業用定期借地権は除外して、普通借地権と一般定期借地権だけを考えます。契約期間が50年の場合、普通借地権でも一般定期借地権でも期間は50年のままです。契約期間が15年の場合、普通借地権のみ契約可能です。普通借地権では契約期間15年が30年に延長されます。一般定期借地権の契約期間は30年以上が条件ですから15年では契約できません。

3 建物所有目的ですので、借地借家法が適用されます。民法は適用されません。借地借家法では、一般的に特約で契約の更新をしないとすることはできません。ただし、定期借地権の場合は特約で“契約の更新をしない”とすることができます。肢3は居住用の建物を所有する場合ですから、定期借地権では一般定期借地権だけを考えます。契約期間が50年の場合、普通借地権のときは特約が無効で、一般定期借地権のときは公正証書でなくても書面であれば特約が有効です。契約期間が15年の場合、普通借地権だけが当てはまり特約は無効で、しかも契約期間が30年に延長されます。一般定期借地権は、肢2と同じく期間が足りないので考えません。

4 工場用建物所有目的ですので、借地借家法が適用されます。民法は適用されません。しかも、工場用建物所有目的ですので事業用定期借地権も問題になります。事業用定期借地権では契約期間が30年未満の場合には契約の更新の規定が適用されません。特約で排除しなくてもOKです。契約期間50年の場合でも契約期間が15年の場合でも、普通借地権の場合の特約は無効です。事業用定期借地権の場合の特約は、契約期間50年の場合は公正証書で定めた場合のみ有効で、契約期間15年の場合は公正証書で定めなくても契約更新の規定は適用されませんので有効です。契約期間50年の場合のみ一般定期借地権も検討します。一般定期借地権の場合の特約は公正証書で定めなくても有効です。契約期間15年では肢2と同じく期間が足りないので考えません。

 

 

| まとめ

 

1 民法と借地借家法の適用場面の区別は重要!

2 借地借家法は普通借地権から覚えましょう!

3 定期借地権はややこしいので表でまとめて覚えましょう!



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