学校法人の元理事長が土地売却代金を着服!?

2019年12月5日に大きなニュースが流れました。大阪にある学校法人で行方が分からなくなっていた土地売却代金の一部21億円を元理事長が横領していた疑いがあるとのことです。

事実関係がややこしい事件ですので、整理してみようと思います。

 

 

| 以前にも土地売却計画があった!?

 

今回明らかになったのは、2017年7月に学校法人の所有する土地を売却して校舎の建築費用を捻出しようとしていた事案です。実は、2016年にも売却の話があったようですが、保護者の反発があって実現しなかったようです。

登場人物を整理してみましょう。

学校法人:M

2016年の土地購入予定業者:P社

2017年の土地購入予定業者:C社

2017年の土地売買の仲介業者:S社

2017年の土地売買のコンサルタント会社:A社

2016年の土地売買契約は、学校法人MからP社が学校の土地を購入する計画でした。この計画がとん挫した後、2017年にはMからC社が同様の土地を購入することになったようです。

 

 

| 2017年の土地売却代金の流れ

 

土地の売買契約は、MとC社で締結されました。売買金額は32億円、そのうちの21億円が手付金としてC社からMへ支払われました。実際にはC社の支払った手付金は仲介業者S社がMから預かっていたようです。

この事件をややこしくしているのは、2016年の土地購入予定業者だったP社が2017年の土地売買にも絡んでいるらしいことです。P社はC社から当該土地を購入する契約を締結していて、土地はMからCを経由してP社が取得すというる3者間の協定があったそうです。手付金の21億円はP社が支出していたと言われています。

お金の流れとしては、P社からC社に21億円が渡され、C社からMへ支払われた後、S社がMから手付金を預かっていました。さらに、Mの元理事長からの指示で、手付金21億円はS社からコンサルタント会社A社に振り込まれていたようです。A社はMの元理事長の知り合いでした。

ややこしくなってきましたのでまとめます。

土地の本当の買主はP社。ただ、2016年にP社を買主とする計画が頓挫しましたので、買主はC社ということになっています。土地はM→C社→P社と移転する計画です。悪く言えば、C社はダミーの買主ですね。実際には、第三者のためにする契約が締結されたのかもしれません。

本当の買主はP社ですから、Mへ支払う手付金の実際の負担はP社がしています。P社からC社、Mへと支払われて、S社が預かりました。その後、Mの指示でS社からA社に手付金が移動しました。P社→C社→M→S社→A社と移動しました。

ここまで事実の中には不正はありません。不正はここから行われたようです。

A社に移転した手付金21億円をMの理事長、P社の部長、C社、S社などが関与して着服したとされています。

 

 

| 横領事件は逮捕される?

 

会社のお金などを横領した場合、逮捕される可能性があります。(1)示談が成立しておらず、(2)警察に被害届が出されていて、(3)着服された金額が200万円以上の場合には逮捕される可能性が高くなるようです。

着服金額が100万円以下の場合には、裁判で有罪になったとしても実刑判決ではなく執行猶予がつく可能性が高くなります。100万円を超えると実刑判決になるようです。

今回の事案では21億円の手付金を誰がいくら手にしたのかによりますが、横領金を手にした人は全員が逮捕されて、裁判で有罪になれば実刑判決が出そうです。

逮捕されないようにするためには示談を成立させることが一番です。横領事件の示談では、債務承認弁済契約書を公正証書で作ることがあります。公正証書で作成する場合は、警察など捜査機関への被害申告に関する条項や強制執行に関する条項を盛り込むことが多いでしょうから、示談の成立を立証できるとともに逮捕される可能性が低くなります。

横領金の返済に関する契約をする場合には、債権者に公正証書での作成への協力を頼んでみてはいかがでしょうか。

 

 

| まとめ

 

1 大阪での21億円横領事件が解決に向かう!?

2 大金が動く横領事件では事実がややこしい!?

3 示談が成立していれば逮捕される可能性が低い!?



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