大阪では民泊が流行っていますが、この1ヵ月ほどで民泊事業を廃止した全国の件数は1800件以上もあります。
民泊事業をやめる場合には、事業を廃止したときから30日以内に都道府県知事などに届け出なければいけません。自治体に事業の廃止の届出のあった件数が1800件以上になります。2019年3月に行われた前回の調査では641件でしたので大幅に増えました。
観光庁が事業を廃止した人に対して廃止の理由を調査しました。回答件数は223件です。
中身を見てみましょう。
| 観光庁の調査の概要
観光庁の調査の対象は次のとおりです。
・2019年9月10日~10月15日の間に自治体に対して廃止の届出があったもの
・2019年10月10日時点の事業廃止件数:1,805件
・回答件数:223件
最も多かった理由は“旅館業または特区民泊へ転用するため”でした。全体の57%以上にもなります。2019年3月の調査では約37%でしたので、大幅な増加になっています。
2番目の理由は“事業を行う権利がなくなったため”です。前回の3月の調査では1.5%でしたが、今回は8%に増えました。
3番目の理由は“収益が見込めないため”です。前回の3月の調査では約6%、今回の調査では約7%です。ほぼ横ばいですね。
全体の半数以上は業種や事業者を変えながらも民泊を続ける意思がある廃止届になっています。
| 民泊をやめる理由は変わってきてる?
事業を行う権利がなくなった方がかなり増えていましたので、理由の変化を調べるために前回(2019年3月)の調査と比較してみます。
1 旅館業または特区民泊へ転用するため
2019年3月:約37%
2019年11月:約57%
2 事業を行う権利がなくなったため
2019年3月:約1.5%
2019年11月:約8%
3 収益が見込めないため
2019年3月:約6%
2019年11月:約7%
4 届出住宅の使用権がなくなったため
2019年3月:約11%
2019年11月:約7%
5 他の用途へ転用するため
2019年3月:約3%
2019年11月:約2%
6 法令に適合することが困難なため
2019年3月:約10%
2019年11月:約2%
7 事業者としての業務負担が大きいため
2019年3月:約3%
2019年11月:約1%
8 その他(事業継続の意思あり)
2019年3月:約23%
2019年11月:約9%
9 その他(事業は完全に廃業)
2019年3月:約5%
2019年11月:約9%
前回よりも大きく増えた理由は、“旅館業または特区民泊へ転用するため”、“事業を行う権利がなくなったため”、“事業は完全に廃業”の3つです。
特区民泊などへ転用することでより収益の上がる業種や地域に変更するか、事業を辞めてしまうのかと2分されているように思います。ただ、“収益が見込めないため”という理由はあまり変化がありませんので、事業を完全に廃業される理由が増えた理由は何なのでしょうか?
逆に、前回よりも大きく減った理由は、“届出住宅の使用権がなくなったため、”法令に適合することが困難なため“、”事業者としての業務負担が大きいため“、”その他(事業継続の意思あり)“の4つです。
権利がなくなったり違法な住宅であったりして、住宅自体が使えなくなったから廃止するという理由が減っていますね。民泊の業務内容が浸透しだしたのでしょうか。事業者の業務負担が大きいという理由も減っています。
全体的に見ますと、民泊事業の業務内容をよく理解して特区地域で開業をすると続けていけそうな感じがします。特区の恩恵は大きいのでしょうね。
| まとめ
1 1か月での事業廃止件数は約1800件!
2 旅館業や特区民泊への転用のために廃止する事例が多数!
3 住宅自体が使えないために廃止する事例は減少!