税務研修会に参加しました ~消費税の軽減税率制度 その4~

先日、近所の納税会館で開催された研修会に参加してきました。事業主や税務担当者が対象の研修会です。内容は、法人税、消費税、源泉所得税です。それぞれの内容をご紹介したいと思います。

税務研修会に参加しました ~消費税の軽減税率制度 その1~”で軽減税率の対象品目は酒類と外食以外の飲食料品と週2回以上発行している新聞で定期購読しているものだと書きました。

前々回の“税務研修会に参加しました ~消費税の軽減税率制度 その2~”で8%か10%か迷うような場面のことを書きました。

前回の“税務研修会に参加しました ~消費税の軽減税率制度 その3~”では帳簿や請求書の書き方について書きました。

今回はインボイス制度について書きたいと思います。今回が長々と続いて税務研修会の報告の最終回です。

 

 

| インボイス制度ってなに?

 

2019年10月1日から始まる区分請求書等の発行制度に代わって、2023年10月1日から始まるインボイス制度(適格請求書等保存方式)。インボイス制度では、適格請求書等を発行する事業者に義務を負わせて経理をしっかりとさせ、消費税のごまかしを失くそうとする制度です。

適格請求書は“販売者が購入者に正確な適用税率や消費税額などを伝えるための手段”です。区分請求書に比べて記載する内容に大きな違いはありません。

飲食店など不特定多数と取引を行う業者は、適格請求書の代わりに“適格簡易請求書”を交付してもOKです。

“適格請求書発行事業者登録制度”と“適格請求書発行事業者が気を付けること”と“買い手が気を付けること”の3つに分けて書いていきます。

 

 

| 適格請求書の発行事業者の登録

 

適格請求書を発行できるのは“適格請求書発行事業者”だけです。適格請求書発行事業者は課税事業者でなければ登録できません。つまり、免税事業者は適格請求書を発行できません。

手続としては次のとおりです。

1 登録申請書の提出

2 税務署による審査

3 登録および講評・登録簿への登載

4 税務署からの通知

適格請求書発行事業者かどうかは、インターネットで確認ができるようになるそうです。適格性空所発行事業者に登録されると登録番号がつけられて、請求書やレシートに記載しなければいけません。

ところで、課税事業者が免税事業者に対して適格請求書の発行を求めても発行されないのですから、適格請求書の保存義務のある課税事業者は免税事業者と取引できなくなってしまいます。そこで、免税事業者の登録手続きが定められています。

免税事業者が適格請求書発行事業者として登録を受けるためには、原則として登録申請書と消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者にならなければいけません。登録申請書は、適格請求書発行事業者の登録を受ける<1ヵ月+1日>前までに提出しておく必要があります。

ただし、2023年10月1日以前に登録申請書を提出していて2023年10月1日から適格請求書発行事業者になる場合には、消費税課税事業者選択届出書の提出は必要ないそうです。この場合には2023年10月1日から消費税の課税事業者になりますので、消費税の申告が必要になります。

 

 

| 適格請求書発行事業者が気を付けること

 

適格請求書発行事業者は、原則として適格請求書を交付して写しを保存しなければいけません。また、登録を受けていない事業者は適格請求書と見間違うような書類の交付は禁じられています。自動販売機での販売など交付が免除されている取引もあります。

適格請求書は次の内容を記載します。

1 適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号

2 取引年月日

3 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

4 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率

5 税率ごとの消費税額など

6 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

区分記載請求書との違いは、“登録番号”“適用税率”“税率ごとの消費税額など”の3点です。

適格請求書の記載例 消費税 軽減税率 インボイス

また、飲食店など不特定多数と取引を行う業者は、“適格簡易請求書”の発行でもOKです。適格簡易請求書には次の内容を記載します。

1 適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号

2 取引年月日

3 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

4 税率ごとに区分して合計した対価の額

5 税率ごとの消費税額等または適用税率

“簡易”であるのは、適用税率の書き方と相手の氏名や名称の記載です。

適格簡易請求書の記載例 消費税 軽減税率 インボイス

 

 

| 買い手が気を付けること

 

適格請求書を受け取った場合には区分記載請求書と同じ要領で帳簿に記帳します。適格請求書の交付義務が免れている場合などでは帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。

ただ、インボイス制度が始まると、免税事業者や消費者などの適格請求書発行事業者以外から仕入れた場合には、消費税額の控除ができなくなってしまいます。そこで、経過措置が設けられています。区分記載請求書等と同様の内容が記載された請求書等を保存していて、帳簿に経過措置の適用を受けることが書かれている場合には、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できることになりました。期間と割合は次のとおりです。

~2026年9月30日 : 仕入税額相当額 × 80%

~2029年9月30日 : 仕入税額相当額 × 50%

全額ではないのがつらいところですね。

 

 

| まとめ

 

1 インボイス制度は2023年10月1日からスタート!

2 登録を受けないと適格請求書等を発行できない!

3 登録を受けられるのは課税事業者だけ!



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