先日、近所の納税会館で開催された研修会に参加してきました。事業主や税務担当者が対象の研修会です。内容は、法人税、消費税、源泉所得税です。それぞれの内容をご紹介したいと思います。
前々回は“税務研修会に参加しました ~消費税の軽減税率制度 その1~”で軽減税率の対象品目は酒類と外食以外の飲食料品と週2回以上発行している新聞で定期購読しているものだと書きました。
前回は“税務研修会に参加しました ~消費税の軽減税率制度 その2~”で8%か10%か迷うような場面のことを書きました。
今回は帳簿や請求書への記載方法について書きたいと思います。
| 帳簿や請求書って何が変わるの?
軽減税率の対象品目である食料品の購入や新聞などの定期購読をしている事業者の方は、税率ごとに区分した帳簿への記帳(区分経理)や請求書の作成(区分記載請求書)が必要になります。
事業所で飲むためのペットボトルのお茶を経費で買ったりお客様に出すためのコーヒーを買ったりすると区分経理が必要になりますから、ほとんどの事業者が対象になると思います。
期間は、2019年10月1日~2023年9月30日です。2023年10月1日以降はインボイス制度が始まります。インボイス制度については次回の記事で書く予定です。
1 区分経理について
帳簿への記帳は、仕入れ先からもらった請求書やレシートの税率が分かるように記載します。軽減税率の対象品目であることも書きます。請求書のとおりに記入しなければいけないのはもちろんです。
記帳に必要な事項は次のとおりです。
(1)課税仕入れの相手方の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引の内容
(4)対価の額
(5)軽減税率の対象品目である旨
(1)~(4)は今までと同じで(5)を付け加えます。
もし請求書やレシートに軽減税率の対象品目であるかどうかの記載がない場合には、勝手に追記することができます。税率ごとに区分して合計した税込対価の額の記載がない場合も同じように追記することができます。
また、自動販売機からの購入や3万円未満の少額の取引で請求書やレシートを貰わなかった場合は、(1)~(5)を記入すればOKです。
2 区分記載請求書について
請求書やレシートを発行する場合には、軽減税率の対象品目だけでなく、税率ごとに合計金額を記載します。
区分記載請求書等に必要な事項は次のとおりです。
(1)請求書発狂者の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引の内容
(4)対価の額
(5)請求書受領者の氏名または名称
(6)軽減税率の対象品目である旨
(7)税率ごとに区分して合計した税込対価の額
(1)~(5)は今までと同じで(6)と(7)を付け加えます。
(5)については飲食店などで不特定多数の人と取引する場合には省略できます。
免税事業者が発行する請求書やレシートについては、取引の相手方が課税事業者だと区分記載請求書などの交付が求められます。課税事業者が仕入税額控除を行うためには区分記載請求書等の保存が必須だからです。ですので、免税事業者も区分記載請求書等を準備しておくことをおすすめします。
| 帳簿や請求書はこんな感じになる!
1 帳簿の記載例
帳簿への記載例はこんな感じになります。
ほとんど今までと同じですね。軽減税率の対象品目には“※”や“☆”などの記号をつけます。そして、記号が付いた品目が慶全税率の対象品目であることを明示します。仕入と売上の両方に書きます。
2 請求書の記載例
請求書の記載例としてはこのような感じになります。
こちらもほとんど今までと同じですが、“※”や“☆”などの記号を使って軽減税率の対象品目であることが分かるようにします。税率ごとに請求書を分けて発行してもOKです。
| まとめ
1 帳簿には軽減税率対象品目であることを明記!
2 請求書には税率ごとの合計額を明示!
3 記号で軽減税率対象品目を区分!
4 免税事業者も区分経理や区分記載請求書の準備を!