社会保険の手続はどうする? ~その2~

当事務所では会社設立の相談を受けることがあります。建設業を個人事業でやってきた一人親方が従業員を雇うのを機に会社組織にしたい、息子に建設業を引き継がせたいといった相談です。そこで問題になるのが社会保険。法人で建設業の許可を取ろうとすると社会保険が必須です。さて、どうしましょうか。

 

 

| 社会保険手続の順番

 

健康保険と年金保険は両方とも年金事務所(年金事務センター)で処理しますので一度に手続ができます。労働保険である雇用保険と労災保険の手続きには順番があります。

1 労災保険の用紙の取寄せ

健康保険・年金保険、雇用保険の書類はインターネットからダウンロードして手に入れることができます。しかし、労災保険の書類は労働基準監督署かハローワークに行ってもらうか郵送してもらうしかありません。これらの用紙は複写になっていて専用の用紙でないといけないのです。また、通常の一元事業と建設業などの二元事業では用紙の色が違います。窓口や電話で相談をして間違えないようにしてください。

労働保険概算保険料申告書-使用不可(特殊用紙が必要)

2 健康保険、年金保険、雇用保険の用紙の入手と記入

インターネットでダウンロードするか、年金事務所やハローワークで入手します。労災保険の書類を取り寄せている間に作っておきましょう。

新規適用届の“現物給与の種類”“昇給月”“賞与支払予定月”などは単なる予定ですから、予定に合わせて記入してください。個人事業主の方は法人番号などの記入は不要です。ただし、事業所が1つしかなくても“本・支店区分”には“本店”に丸をつけましょう。

健康保険・年金保険 新規適用届(表)健康保険・年金保険 新規適用届(裏)

被保険者資格取得届と被扶養者(移動)届には従業員や扶養家族のことを書きます。法人の代表者は健康保険と厚生年金保険に加入できますので手続をしてくださいね。(雇用保険は入れません。)従業員や扶養家族の基礎年金番号が分からない場合には年金事務所で情報通知書を貰ってください。

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 記入例

雇用保険の適用事業所設置届は裏面に注意してください。裏面真ん中より少し下にある“22.登録印”のところです。法人の場合は“事業所印影”のところに代表者印を押します。個人事業主の場合は“事業主(代理人)印影”のところに個人印または代表印を押します。また、“23.最寄りの駅又はバス停から事業所への道順”はインターネットで取得した地図を張り付けてもOKです。ただし、駅・バス停と事業所の場所がはっきりとわかるように大きめに○をつけて矢印(↑↓→←など)で道順を書き込んでおきましょう。駅・バス停からの距離や徒歩での所要時間を書き込んでおくと親切です。

雇用保険適用事業所設置届(裏)

健康保険や年金保険の支払方法として口座振替を希望する場合は、引き落とされる口座のある金融機関に行って“口座振替納付申出書”に“確認印”を貰ってください。

健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書

3 添付書類の収集

登記簿謄本や住民票、賃金台帳のコピーなどを集めましょう。登記簿謄本は法務局、住民票は市役所で入手できます。従業員の雇用保険の被保険者証や被扶養者(異動)届に必要な情報などは早めに従業員に確認しておくといいです。

4 健康保険、年金保険の書類の提出

健康保険と年金保険の添付書類が揃いましたら年金事務所に提出します。大阪では年金事務センターへの郵送することになっています。年金事務所に持って行っても、“ウチから郵送することになるので、この封筒を差し上げますからそちらで郵送してもらった方が早いですよ”と言われて料金効能郵便の封筒を貰うことになります。

5 労災保険の用紙に記入

労災保険の書類が届きましたら記入していきます。面倒なのが労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書です。何が面倒なのかといいますと保険料の計算です。書き方がよく分からず自信がない場合は、労働基準監督署で職員に書いてもらった方が確実です。概算の賃金総額を調べておいて会社の代表印を持って行けば、その場で提出までできます。

労働保険概算保険料申告書-使用不可(特殊用紙が必要)

6 労災保険の書類の提出

労働基準監督署へ持参するか郵送で提出します。労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書は複写用紙になっていて最後の1枚は事業主の控えになっていますので、郵送する場合には切り取っておきましょう。もし、記入内容に不備があれば、労働基準監督署の担当者から確認の電話がありますので安心してください。ここで、労働保険番号を取得します。雇用保険にも使いますので大切に控えておいてください。

7 雇用保険の書類の提出

雇用保険の用紙をハローワークに提出します。このときに労働基準監督署に提出した“労働保険関係成立届”の控えと“労働保険概算保険料申告書”の控えを一緒に提出します。労災の手続より前に雇用保険の手続きをしようとしても、窓口で門前払いになりますのでご注意ください。

8 労働保険料の納付

“労働保険概算保険料申告書”の下部にある納付書を使って、労働基準監督署か金融機関で納付します。払い込まないと労働保険の手続きが完了しませんのでご注意ください。一応は50日以内に払い込むことになっていますが、早い目に手続きを済ませておくことをおすすめします。

9 “保険料納入告知額・領収済額通知書”の受け取り

健康保険・年金保険の払込み額のお知らせが届きます。口座引落の手続をした場合には、口座の残高にご注意ください。また、同時に標準報酬月額の決定通知書も届くはずです。大切に保管しておいてください。

10 雇用保険証の受け取り

ハローワークから雇用保険証が郵送されてきます。窓口で雇用保険の手続きをした場合にはその場でもらえます。従業員用の分は従業員に渡してください。事業主保管用は会社で保管してください。

 

 

| まとめ

 

1 健康保険と年金保険は一度に手続き!

2 労災保険が先!雇用保険が後!

3 労働保険料の納付を忘れずに!



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