| 事業承継の税制が個人事業主にも拡大
日本の企業のほとんどは中小企業や小規模事業者です。しかも、近年は経営者の高齢化が叫ばれています。個人事業者の70%以上が70歳以上になっているのです。
そうは言っても高齢化の何がいけないのでしょうか?経営者が亡くなれば店をたたむだけだから別にいいんじゃない?と思われますが、国にとっては痛手なのです。
売上を上げてきちんと税金を支払ってくれる中小企業や小規模事業者は、国の立場から見ますと税収を賄うために大切にしなければいけません。経営者が亡くなったからといって優良企業を簡単につぶすのは税収面でもったいないと考えています。
そこで個人事業者の事業承継を推進するためにお得な制度を拡大しました。
| 個人事業を承継すると相続税を免除!?
お得な制度を使うためには、承継計画を都道府県に提出しなければいけません。その中で相続人を確定しておくのですが、この相続人が中小企業経営承継円滑化法の認定を受けた場合には“認定相続人”と呼んでいます。
認定相続人が事業を承継して継続していく場合には、事業用資産分の相続税の納税が猶予されます。さらに、認定相続人が死亡するまで相続した事業用資産を持っていて事業を継続していた倍には全額免除されます。
たとえば、お父さんが1人で始めた商店が、40年50年と商売を続けるうちに年商5億円、税引き後の利益が1億円の規模になったとします。この商店を相続すると、かなりの額の相続税を納めることになります。土地・建物、車、設備、什器など多くの資産を相続することになるからです。
全額免除になる要件は次のとおりです。
1 認定相続人が死亡のときまで事業用資産を保有して事業を継続した場合
2 認定相続人が障害を負った場合
3 認定相続人が破産した場合
4 相続税の申告期限から5年経過後に、次の後継者へ事業用資産を贈与して、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けた場合
一部免除になる要件は次のとおりです。
1 同族関係者以外の者へ事業用資産を一括して譲渡する場合
2 民事再生をした場合
3 一定の要件を満たして、事業用資産の一括譲渡または事業用資産の事業を廃止する場合
承継計画の認定のときなどにいろいろな条件がありますが、事業用資産について相続税を猶予されるのはかなりお得ですよね。しかも全額免除になる可能性もあります。ぜひ活用して、大切なお店を次世代に残してください。
| まとめ
1 国は税収のために優良企業を潰したくありません!
2 法人だけでなく個人事業者にも相続税の優遇措置を拡大!
3 事業用資産の相続税を払わなくてよくなるかも!?