| 待機児童問題で国交省・厚労省が発表
平成29年の秋に国交省と厚労省の連名で通知が発表されましたが、主に次のような内容でした。
1 都市計画の立案時点から都市・建築部局と保育部局の連携・情報共有
2 新たな保育施設の確保が必要だと見込まれる場合、必要に応じて都市計画の内容や総合設計制度の許可条件などに反映
3 開発事業者に対して保育施設の確保の必要性を示し、保育施設の設置を要請、必要に応じて情報提供
4 保育施設の容積率特例措置の適用について、将来の需要が減少したときのために用途変更の範囲を事前に提示
保育園併設マンションは、これから子育てをされる共働き世代にとって嬉しい施設だと思います。保育園内の子どもたちの多くがマンションの住民であればなんとなく安心できると思われる方もいらっしゃるでしょう。
確かに、大阪でも保育園の併設を売りにした大規模マンションを見かけます。ただ、まだまだ一般的になったとはいえない状況です。
| 保育園併設マンションが増えないわけ
保育園には大きく分けて2種類あります。認可保育所とそれ以外の保育施設です。都道府県から認可されるためには様々なハードルを越えなければいけません。施設の面積、職員数、設備、衛生管理など多岐にわたります。
認可保育所になれば公費の補助がありますので、保育料は比較的安くなります。施設や設備などが一定の基準を満たしていて保育料が安いとなれば、利用者から人気が出るのも当然ですね。
ただ、認可保育所にはメリットだけでなくデメリットもあります。
マンションに併設された保育園の一番のメリットは利便性ではないでしょうか?住居に保育園があるのは送り迎えに大変便利です。ただし、併設された保育園が認可保育所の場合、マンションの住民だからといって優先的に入園できるわけではありません。
認可保育園への入園希望者は市町村へ申請して市町村がその中から保育園を割り当てます。市役所が入園する保育園を決めるのですから、希望した保育園に必ず入れるとは限りません。というよりも、マンションを購入できるほどの高収入世帯では、便利な保育園へは入園できないと思っていいかもしれません。
入園者の割り当ては、各世帯の勤務状態だけでなく、祖父母などの親族が近くに住んでいるか、世帯収入はどのくらいあるかなどを点数化して順位をつけて、上位者から希望の施設に割り振ります。上位者は保育環境がより恵まれていないとされる世帯です。
マンションの住民が併設の保育園に入れないとなると、あてにしていたマンション購入者は不満です。しかも、保育所整備のためにマンション建設業者が負担した費用はマンションの価格に転嫁されています。保育所整備費用の一部を負担しながら自分たちは利用できないという腹立たしい事態になる可能性があるのです。
それが分かっているマンション建設業者がわざわざ保育所併設のマンションを建設しないのもわかりますね。
| あえて認可外の保育施設の選択も!
認可外の保育施設のすべてが保育環境の悪い保育所だというわけではありません。もちろん中には雑居ビルの一室で預かるような保育環境があまりよくない保育所もあるでしょう。
その反面、厳しい認可基準をわずかに満たせないために認可をもらえない施設もあると思います。職員数や保育室の面積が少し足りないだけでも認可はもらえませんから。
保育環境が少し基準に満たなくても、保育サービスを充実している保育所もあります。たとえば、預ける時間の自由度が高かったり、保育園での服薬を融通してくれたり、親御さんがお仕事を休んだ日にも預かってくれたりと柔軟に対応してくれるところもあるようです。
認可保育所は行政からのルールで厳しく管理されていますから、親御さんの負担を少なくして利便性を高めることは難しくなっています。
このような保育サービスを提供するために、あえて認可を取らない保育所もあると聞いています。マンションに併設された保育施設は、マンションを購入できる共働きの高収入世帯を顧客層にするならば、あえて認可を取らないという選択もあるのではないでしょうか。
高収入の共働き世帯が多い地域だと、認可保育園との価格競争をせず、充実したサービスを提供することで十分に経営していけるのではないでしょうか。
| まとめ
1 待機児童問題で国交省・厚労省が通知を発表!
2 保育園併設マンションはメリットとデメリットがあります!
3 認可外の保育施設を選択するメリットも!