就業規則を見たことありますか?

| 就業規則の作成と届出は義務

 

みなさんは会社の就業規則を読んだことがありますか?労働条件や賃金の計算方法、退職についてなど色々なことが書かれています。退職するときの手続きを知るときに初めて読んだという方もいらっしゃるかもしれません。

常時10人以上の労働者を使用する会社は就業規則を作成しなければいけません。作成するときには過半数の労働者の意見を聞きます。一人一人の労働者の意見を聞くというよりも、過半数の労働者が加入している労働組合などの意見を聞くことが多いと思います。

また、作成するだけではダメで労働基準監督署長に届け出る必要があります。

 

| 就業規則には何が書いてあるの?

 

就業規則には絶対書かなければいけないこと(絶対的必要記載事項)、規則を作るなら書かなければいけないこと(相対的必要記載事項)があります。それ以外にも労働条件を明示しておきます。

1 絶対的必要記載事項

・始業、就業の時刻、休憩時間、休日や休暇、就業時転換

・賃金の決定(臨時の賃金等を除く)、計算、支払方法、賃金の締め切り、支払の時期、昇給

・退職(解雇の事由を含む)

2 相対的必要記載事項

・退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の方法、計算、支払方法、支払時期

・臨時の賃金など(退職手当を除く)、最低賃金額

・労働者が負担する食費、作業用品など

・安全、衛生

・職業訓練

・災害補償、業務外の傷病扶助

・表彰、制裁の種類、程度

・労働者のすべてに適用される定め

 

| そのほかの就業規則のルール

 

就業規則を作るときにはいくつかのルールがあります。

内容として最も重要視されているのは減給の制裁規定の制限についてです。

1 1回の額の限度

平均賃金の1日分の半額が上限です。たとえば、1日に3回違反行為があった場合、1回の減給額が平均賃金の1日分の半額以内であれば、違反3回分の減給の合計額が平均賃金の1日分の半額を超えてもかまいません。

逆に、1回の違反行為なのに、平均賃金の1日分の半額以内の減給を何回もすることはできません。

2 総額の限度

賃金の総額の1/10が上限です。たとえば、月給制で1か月に5回違反行為があった場合、違反5回分の減給額の合計が1か月の賃金の1/10を超えてはいけません。1/10を超えて減給をする場合には、超えた分は翌月以降に減給することになります。

今までのブログの中で“労働協約”や“労働契約”などいろいろと書いてきましたが、就業規則との関係はどうなっているのでしょうか。労働協約と就業規則ではどちらが優先されるのでしょうか。強弱は次のようになっています。

(強)法令>労働協約>就業規則>労働契約(弱)

ただし、就業規則よりも労働者に有利な労働条件が労働契約に定められている場合には、労働契約が就業規則に優先します。労働契約書を作成するときには就業規則に反していないか確認が必要ですね。

 

| まとめ

1 一定規模以上の会社では就業規則の作成と届出は義務!

2 就業規則には労働条件や賃金などについて書かれています!

3 減給の制裁には上限があります!



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ちょっと変わった働き方 ~みなし労働時間制 2~

| みなし労働時間制は3種類

 

前回の記事“ちょっと変わった働き方 ~みなし労働時間制~”でまとめましたが、みなし労働時間制には3種類あります。

1 事業場外労働のみなし労働時間制

2 専門業務型裁量労働制

3 企画業務型裁量労働制

1の事業場外労働のみなし労働時間制について、前回まとめました。今回は2の専門業務型裁量労働制をまとめたいと思います。

 

| 専門業務型裁量労働制

 

専門業務型裁量労働制には具体的に対象になる業務があります。全部で19業務です。

1 新商品・新技術の研究開発など

2 情報処理システムの分析・設計

3 取材・編集

4 デザイナー

5 プロデューサー、ディレクター

6 コピーライター

7 システムコンサルタント

8 インテリアコーディネーター

9 ゲーム用ソフトウェアの制作

10 証券アナリスト

11 金融商品の開発

12 大学における教授研究

13 公認会計士

14 弁護士

15 建築士

16 不動産鑑定士

17 弁理士

18 税理士

19 中小企業診断士

後半は士業が続いていますね。全体的にカタカナの仕事が多いような気がします。

チームで仕事をするときは、主任の管理下で業務遂行や時間配分がなされている人や雑用や清掃などだけをする人は、専門業務型裁量労働制に該当しないとされています。

この19種類の業務に従事した労働者と労使協定を締結して労働基準監督署長に届出をすると、労使協定で定めた時間を労働したものとみなします。

労使協定で記載しなければいけない内容は次のとおりです。

1 対象業務

2 1日当たりの労働時間

3 業務遂行の手段や時間配分の決定に使用者が具体的に指示をしないこと

4 労働時間の状況に応じた健康・福祉を確保する措置を講ずること

5 苦情処理の措置を講ずること

6 有効期間の定め

7 健康・福祉確保措置や苦情処理措置の記録を有効期間後3年間保存すること

 

 

| まとめ

 

1 専門業務型裁量労働制は業務が決まっています!

2 チームで仕事をするときは注意が必要!

3 労使協定の締結と届出が必須!



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ちょっと変わった働き方 ~みなし労働時間制~

| みなし残業との違い

 

最近よく聞く“みなし残業”。給料の中に残業代が含まれている制度ですね。実際には、給料の中に含まれているのは一定時間分の残業代だけです。ですから、一定時間分を超えた残業代は追加して支払わなければいけません。

それに対して、“みなし労働時間制”では、実際の労働時間に関係なく決まった時間が賃金の対象となりますので、残業代を支払うことがあるとしても一定額になります。

みなし労働時間制では一定額ということですから、事業主としては人件費の管理がしやすくなって残業代が抑制できます。

 

| みなし労働時間制の種類

 

みなし労働時間制には大きく分けて3種類あります。

1 事業場外労働のみなし労働時間制

労働者が労働時間の全部又は一部を事業所外で行う場合で労働時間の算定が難しいときに使うことができます。

2 専門業務型裁量労働制

労使協定で定めた対象業務に就いた場合には、その協定で定めた時間を労働したものとみなす制度です。高度の専門性・裁量性を持つ労働者を想定しています。

3 企画業務型裁量労働制

労使委員会が設置された事業場で決議と届出をすることで、対象業務についた労働者は決議で定めた時間を労働したものとみなす制度です。業務を適切に遂行するための知識・経験がある労働者を想定しています。

 

| 事業場外労働のみなし労働時間制

 

事業場外労働の場合、3つに分けて規定されています。

1 原則

・労使協定の締結・届出などは不要

・所定労働時間労働したものとみなす

・事業場内労働も所定労働時間に含める

2 通常所定労働時間を超える場合で、労使協定がある場合

・労使協定で定めた時間が法定労働時間を超えるときは届出が必要

・労使協定で定めた時間労働したものとみなす

・事業場内の労働時間+労使協定で定める時間

3 通常所定労働時間を超える場合で、労使協定がない場合

・労使協定の締結・届出などは不要

・事業場外の業務遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす

・事業場内の労働時間+事業場外の業務遂行に通常必要とされる時間

事業場外労働のみなし労働時間制を採用できない場合もあります。

1 グループで事業場外労働をする場合で、労働時間を管理するものが含まれている場合

2 無線や携帯電話等で随時使用者の指示を受けながら労働する場合

3 事業場で訪問先や帰社時刻など業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示通りに業務に従事して帰社する場合

また、みなし労働時間制が採用されていたとしても、休憩・深夜業・休日に関する規定は適用されます。年少者や妊産婦の労働時間の算定では適用されません。

 

| まとめ

 

1 みなし労働時間制とみなし残業は異なります!

2 みなし労働時間制には3種類あります!

3 事業場外労働のみなし労働時間制にも3つの態様があります!



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ちょっと変わった働き方 ~変形労働時間制~

| 週5日・8時間?

 

近頃話題になっている“働き方改革”。みなさんご存知かと思います。働き方改革の主な課題は3つあると言われています。

・長時間労働

・非正規と正社員との格差

・労働人口不足

短時間勤務を多くの人が行えば解決しそうですが、働く時間が短くなれば給料も減りますよね。そこで労働生産性を上げて…などと言われています。労働基準法では、変形労働時間制を導入して働き手を増やそうとしています。

変形労働時間制には次の4種類があります。

1 1か月単位の変形労働時間制

2 フレックスタイム制

3 1年単位の変形労働時間制

4 1週間単位の非定型的変形労働時間制

それぞれの特徴をまとめていきたいと思います。

 

| 1か月単位の変形労働時間制

 

変形期間は1か月以内で、週“平均”労働時間の上限は40時間(44時間)です。労働日数や週平均労働時間以外の労働時間の上限はありません。1日8時間を超えて働いても週平均労働時間が40時間を超えなければ残業代を払う必要がありません。

ただし、条件があります。以下のことを労使協定または就業規則等に定めておかなければなりません。

・変形期間

・変形期間の起算日

・週平均労働時間が40時間を超えない定め

・変形期間の各日・各週の労働時間

・有効期間の定め(労使協定の場合)

この労使協定などは届出が必要です。全業種でOKですし、会社の規模による制限もありません。

 

| フレックスタイム制

 

フレックスタイム制。よく名前を聞きますね。

1か月以内の期間で、週“平均”労働時間の上限が40時間(44時間)です。労働日数や週平均労働時間以外の労働時間の上限はありません。この点では1か月単位の変形労働時間制と同じです。

そして、条件があることも同じです。

1 就業規則等に始業・就業時刻を労働者の決定にゆだねる旨を定めること

2 労使協定に対象労働者の範囲を定めること

3 労使協定に清算期間とその起算日を定めること

4 労使協定に清算期間の総労働時間を定めること

5 労使協定に標準となる1日の労働時間をさだめること

6 労使協定にコアタイムを定めたりフレキシブルタイムに制限を設けたりする場合には、その時間帯の開始・終了時刻を定めること

変形労働時間制の中で、フレックスタイム制だけは労使協定の届出が必要ありません。全業種でOKですし、会社の規模による制限もありません。

 

 

| 1年単位の変形労働時間制

 

1か月超1年以内で、週“平均”労働時間の上限が40時間(44時間)です。1か月単位の変形労働時間制とは違って、労働日数の上限などがあります。

・労働日数の限度:対象期間が3か月超の場合1年あたり280日

・連続労働日数の限度:6日(特定期間は1週1日の休日、12連勤が上限)

・1週・日の労働時間の限度:52時間/週、10時間/日(対象期間が3か月以下の場合)

対象期間が3か月超になると、52時間と10時間の制限に加えて、次の制限があります。

48時間超の週が連続する場合は3週間以下で、対象期間を3か月ごとに分けたときに48時間超の週の初日の数が3以下でなければいけません。

また、以下のことを労使協定に定めなければいけません。

1 対象労働者の範囲

2 対象期間とその起算日

3 特定期間(特に業務が多忙な期間)

4 対象期間の労働日、当該労働日ごとの労働時間

5 有効期間の定め(労働協約がある場合を除く)

1年単位の変形労働時間制も全業種でOKですし、会社の規模による制限もありません。

 

| 1週間単位の非定型的変形労働時間制

 

これだけは業種や規模が限定されます。常時30人未満小売業旅館料理店飲食店のみが対象です。

期間は1週間で、週所定の労働時間の上限は40時間です。特例事業で通常なら44時間になる事業所も週40時間です。

労働日数の上限はありませんが、1日の労働時間は10時間が上限です。また、労使協定に定めていなければいけません。

 

 

| まとめ

 

1 変形労働時間制は4種類!

2 就業規則や労使協定に定める必要があります!

3 1週間単位の非定型的変形労働時間制だけ業種・規模の制限があります!



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8時間労働の休憩時間は1時間?

| 休憩時間はどれだけ必要?

 

以前の“法定労働時間は週40時間じゃない!?”でまとめました“労働時間の適用除外”で、農業や管理職などの労働時間の適用の除外について書きました。そこで、労働時間以外にも休憩や休日に関する決まり事も適用されないことに触れましたので、今回は休憩や休日についてまとめたいと思います。

1 法定の休憩時間

労働時間6時間以下    :休憩不要

労働時間6時間超8時間以下:45分以上

労働時間8時間超 :1時間以上

例えば9時~17時の勤務の場合、拘束時間が8時間ですので45分の休憩と7時間15分の労働時間でよいことになります。

1時間以上の休憩が必要なのは、拘束時間が9時間超で1時間の休憩と8時間超の労働時間になる場合です。この場合には1日8時間の労働時間を超えていますので、原則として残業代の支払いが必要になります。

1日8時間以下で残業代を支払わなくてよい通常の勤務だと45分の休憩でよいのですね。

2 休憩時間の適用除外(主なもの)

・農業、水産・養蚕・畜産業

・管理監督者、機密の事務を取り扱う者

・監視、断続的労働に従事する者(労働基準監督署長の許可が必要)

・列車、自動車などに6時間超の長距離区間を連続して乗務する者

 

| 休憩の3原則

 

休憩には3つの原則があります。

1 途中付与の原則

休憩時間は労働時間の途中に与えなければいけません。最初や最後はダメです。

2 一斉付与の原則

休憩時間は一斉に与えなければいけません。ただし例外があります。

・労使協定がある場合(届出不要)

・坑内労働

・運輸交通業、商業、金融広告業、接客娯楽業、通信業、保健衛生業、官公署、映画演劇業

派遣労働者の場合には、派遣先の使用者が一斉に休憩を与えなければいけません。

3 自由利用の原則

休憩時間は自由に利用させなければいけません。ただし例外があります。

・坑内労働

・警察官、消防吏員、常設の消防団員

・児童自立支援施設の職員の一部

・乳児院、児童養護施設、障害児入所施設などの職員の一部

・居宅訪問型保育事業の労働者の一部

事業場内で自由に休憩できるならば、休憩中の外出を許可制にしてもOKです。

 

| 休日はどれだけ必要?

 

1 休日の原則

毎週少なくとも“1回”の休日を与えなければいけません。週休2日制が原則ではないのですね。ただし例外があります。

変形休日制を採用する場合には、4週間で“4日”以上の休日を与えることにしてもOKです。4回ではなくて4日です。

2 振替休日と代休

振替休日と代休は、法律上違うものとして扱われているようです。振替休日でも代休でも1週間の法定労働時間を超える場合には残業の割増賃金を支払わなければいけませんので気を付けてください。

・振替休日

あらかじめ休日だった日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日にするものです。

振替休日をするには就業規則などで休日を振り替えることができることを定めておかなければいけません。

また、休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定しておく必要があります。

4週間に4日以上の休日が確保されていればOKです。休日出勤の割増賃金は必要ありません。

・代休

休日労働させた後にその後の労働日の労働義務を免除するものです。

休日労働をさせたからといって必ず代休が必要なわけではありません。ただし休日出勤の割増賃金を支払う必要があります。

 

| まとめ

 

1 8時間労働なら休憩時間は45分以上!

2 休憩には途中・一斉・自由利用の原則があります!

3 振替休日と代休は違います!



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