完全な所有権を取得する方法 ~その2~

| 所有権とその取得方法

 

前回“完全な所有権を取得する方法”で所有権について書きました。まとめておきます。

所有権はモノを使用・収益・処分する権利です。たとえば車では自由に乗ったり有料で貸し出したり売り払ったりすることができます。

また、所有権を取得する方法は承継取得と原始取得があり、原始取得には無主物先占、遺失物拾得、埋蔵物発見、添付の4つがあります。

今回は原始取得のうち添付について書きたいと思います。

 

 

| 所有権の取得方法 ~添付~

 

添付とは、所有者の異なる2つ以上のモノがくっついたり混ざったりして簡単には分離したり復旧することが著しく困難になったときに、分離や復旧を認めない制度です。

たとえば、他人のイスに絵を描いてあげたり、友人のジュースに自分の同じジュースを混ぜたりした場合です。このようなときには元に戻すことが認められなくなります。

詳しく見てみましょう。

1 不動産の付合

土地や建物などの不動産とモノ(動産)が一体化して分離や復旧が不可能もしくは著しく困難になった状態です。不動産の付合には“強い付合”と“弱い付合”があります。

強い付合はモノ(動産)が不動産の一部になってしまったような場合です。たとえば、建物を増築した場合ですね。元々あった建物(不動産)に木材など(動産)が一体化して、木材などが建物の一部になってしまっています。このような場合、不動産の所有者が一体化した動産の所有権を取得します。

弱い付合はモノ(動産)が不動産と一体化していますが、一体化させる権利があるときです。たとえば、建物の賃借人が賃貸人の許可を得て増築した場合で、出入り口が別々になっていて増築部分が壁で遮断されていて別々に利用することができるときです。一戸建住宅を長屋にしたようなイメージでしょうか。分かりにくい例で申し訳ありません。このような場合には、所有権はモノを一体化させた人が有したままです。

2 動産の付合

モノ(動産)がモノ(動産)と一体化して壊さずに分離することができなくなったり分離するのに過分の費用がかかったりする状態です。

たとえば、他人のイスにペンキを塗った場合です。イスとペンキは両方とも動産ですし、イスにペンキを塗った後に、これらを分離すことは著しく困難です。このような場合にはペンキの所有権はイスの所有者が有します。

3 混和

混和はモノ(動産)とモノ(動産)が混ざり合って識別できなくなった状態です。たとえば、ウイスキーの水割りです。他人のウイスキーに水を入れると混ざり合って識別できなくなります。このような場合は混ぜたモノの価格の割合で共有します。

4 加工

加工はモノ(動産)に工作を加えて新たなモノを作ることです。たとえば、ふすまに絵を描いた場合です。このような場合は、原則として元々のモノの所有者が出来上がったモノの所有権を取得します。ただし、例外的に出来上がったモノの価格が元々のモノの価格を著しく超えるときには加工した人が所有権を取得します。

 

このように添付した結果、所有権を失った人は所有権を取得した人に償金を請求することができます。所有権を取得した人はあたかも不当利得があったように見えますので、公平の観点から償金請求権が認められました。

友人のお茶に自分のお茶を混ぜたり友人の持ち物に絵を描いたりしたときに揉めても、民法が解決方法を示してくれます。もちろん話し合いや冗談ですむのが一番ですが…。

 

 

| まとめ

 

1 添付には4つの種類があります!

2 不動産の付合は不動産と動産の一体化!

3 動産の付合は動産と動産の一体化!

4 混和は混ざり合って識別できない場合!

5 加工は工作を加えて新しいものを作った場合!



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