建設業の許可を事例でみる! ~定款作成から法人設立まで~

| 建設業の許可のポイント

 

建設業の許可のポイントを5回に分けて書いてきました。必要な資格・経験や提出書類などややこしくて、一度で覚えるのは難しいですね。もう一度、書き出しておきます。

1 経営業務の管理責任者

経験年数(4種類)、実態・実績・常勤・期間の証明が必要です。

2 専任技術者

国家資格や実務経験、実績・専任・期間の証明が必要です。

3 財産的基礎

一般建設業は500万円、特定建設業は自己資本4000万円+経営の健全性が必要です。

4 事務所

いつでも使えて看板が合って什器・備品が揃っている必要があります。

5 欠格要件

営業上の処分、制限能力者、刑罰、暴力団員があります。

6 誠実性

不正行為などをするおそれが明らかでないことを誓約します。

7 常勤性の証明

経営業務の管理責任者、専任技術者、支店長などが常勤であることを証明します。

 

 

| 新規に法人を設立して許可を取る!

 

建設業の許可のポイントと言われても実際にはどのような手続きになるのか分かりませんよね?そこで、実際の手続きの流れをフィクションの事例で考えたいと思います。

 

Aさんは高校卒業後、18歳の時に親の知人で塗装工事業をしている甲さんに誘われて建設現場で見習いを始めました。仕事は、塗装前の下地調整工事をしてから塗材を吹き付けて仕上げる工事です。

 

ペンキの入った缶と刷毛を持って壁に色を塗っている塗装屋(ペンキ屋)で働く職人さんのイラスト

 

根がまじめなAさんは順調に見習いを終えて一人前の職人になり、今ではBさんと結婚して息子のCさんがいます。現在59歳。職人歴は40年になります。息子のCさんはAさんの営む“A塗装”(個人事業の屋号)で塗装工事業に携わっています。

さて、Cさんも一人前になりAさんが引退を考えていたちょうどその頃、元請さんから建設業の許可を取るように言われて悩み始めました。

Aさんは考えます。 Aさん名義の“A塗装”で許可を取った場合、自分が引退して“A塗装”をCさんに譲ると建設業の許可をもう一度Cさん名義で取らなければいけなくなります。“どうすればいいんだろう・・・”

 

髪をくしゃくしゃにしながら、困った顔をして頭を抱える(悩む)男性のイラスト

 

悩んでいたところ仕事仲間から“法人にすると許可をCさんに引き継げる”と聞き、“A塗装”を法人にしてから建設業の許可を取ることにしました。

 

何から手を付けるといいのでしょうか?

 

Aさんは先に建設業の許可を取った仕事仲間に話を聞いたり、Cさんと一緒にインターネットで調べたりしているうちに、まずは“A塗装”の法人化が必要だと分かりました。

社名は“C塗装株式会社”に決定。株式会社の設立は、定款を作成し認証してもらってから登記をします。早速、C塗装株式会社の設立の準備を始めました。

 

ベンチャー企業のような新しい会社を起業した男性が、出来たばかりの会社の隣でガッツポーズをしているイラスト

 

1 定款の内容を決める

商号、事業目的、本店所在地、資本金、株主、機関設計、事業年度を決めます。

Aさんは商号を“C塗装株式会社”、事業目的を“建設業”、本店所在地を“自宅”と決めましたが、その他のことが専門的過ぎて分かりません。知人から紹介された行政書士Dに定款の作成を依頼することにしました。

 

行政書士が胸につけるコスモスの花をモチーフにした金色のバッジのイラスト

 

2 印鑑を作る(費用:2万円)

設立登記や建設業の許可申請には会社の印鑑が必要になります。会社名が決まったので早速注文します。代表者印、銀行印だけでなく、後々のことを考えて認印として使う角印も用意しました。

代表者印・銀行印・角印のセット(黒水牛)を2万円で購入です。

 

会社を登記したときに登録する会社名が記された丸い印鑑(判子)、丸印のイラスト

 

3 定款の作成と認証(費用:10万7200円)

Aさんは定款の作成を依頼した行政書士Dと何度かの打合せをする中で、資本金を“500万円”、株主(発起人)を“Aさん(200万円)”と“Cさん(300万円)”、代表取締役を“Cさん”、事業年度を“平成30年5月から平成31年4月”に決めました。奥さんのBさんは従業員として雇用します。

ここでの注意点は資本金です。一般建設業の許可を取るためには最低でも500万円の資本金が必要です。

Aさんの思い通りの定款ができたのでDは公証役場で定款の認証を受けました。電子定款にしましたので印紙代4万円が不要になり、費用を抑えることができました。行政書士の報酬は作成と認証代行で5万4千円です。

定款の認証に必要なものは、

①定款3通

②AさんとCさんの印鑑証明

③公証人への手数料5万円

④定款の写しの交付手数料2000円

⑤認証した定款をCD-Rに焼いてもらうための空のCD-R

⑥AさんとCさんから行政書士Dへの委任状

です。

定款のすべてのページに印鑑証明のある個人印で割印をしました。印鑑証明は登記のときにも必要なので2通取っておきました(300円×4枚=1200円)。

 

印鑑登録された印鑑(判子)を証明する、印鑑登録証明書のイラスト

 

4 株式会社の設立登記をする(費用:20万6100円)

Aさんはどうすれば設立の登記ができるのか分かりません。そこで司法書士Eに設立の登記を依頼しました。

AさんはEから資本金の振込が分かる通帳を用意するように言われたので、F銀行のG支店(名義:C)にAさんが200万円、Cさんが300万円、計500万円を振り込んだあと、通帳のコピーをEにわたしました。Eは会社の印鑑を登録した上で、株式会社の設立登記をしました。登記の申請をしてから5日で登記完了です。

費用は、司法書士の報酬が5万4千円、登録免許税が15万円、登記簿謄本が2通で1200円、会社の印鑑証明が2通で900円かかりました。

設立登記に必要な書類は、

①定款

②資本金500万円を振り込んだことの分かる通帳のコピー

③本店所在地を自宅に決めた議事録

④役員になるAさんとCさんの承諾書

⑤AさんとCさんの印鑑証明

⑥設立登記申請書

⑦登録免許税貼付用台紙

⑧登記すべき事項を保存したCD-R

⑨印鑑届出書

⑩AさんとCさんから司法書士Eへの委任状

です。

 

司法書士が胸につけている、桐紋の徽章のイラスト

 

 

以上が定款の作成から設立登記の流れです。費用は計33万3300円でした。

 

次回、Aさんが建設業の許可を取るための準備と実際の申請へと参ります。

 

 

| まとめ

 

1 要件を満たさないと許可が取れません!

2 法人を設立して許可を取るには定款作成から!

3 法人の印鑑を忘れずに手配!

4 建設業許可を取る法人の資本金は500万円以上!



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