| 補助金採択の仕組み
補助金の申請をするときには“事業計画”を提出します。補助金をもらうには、 “なぜ補助金が必要なのか?(現状)”“何に補助金を使うのか?(プロジェクト)”“補助金を使って目的を達成できるのか?(効果)”を明らかにしなければいけません。要するに“事業計画”を作る必要があります。補助金申請ではこの事業計画の中身が最も大切です。
それに加えて、多くの補助金では加点制度を設けています。ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金でも加点制度があります。たとえば、ものづくり補助金では、“経営革新計画”、“経営力向上計画”、“地域経済牽引事業計画”、“認定支援機関の確認書”の取得が加点事由とされています。
まとめますと、事業計画の中身+加点事由で補助金が採択されるかが決まるのです。
| 経営力向上計画をおすすめする理由
これらの加点事由のうち、多くの応募者が取得しているのが“経営力向上計画”です。経営力向上計画は簡略化された事業計画です。補助金を申請される場合は、前もって経営力向上計画の認定を受けておくことをお勧めします。
補助金の申請には事業計画が必要です。事業計画を練り上げるのですから、この事業計画を経営力向上計画にも使ってしまおうというわけです。
平成29年度の経営力向上計画の認定数は、平成29年11月末現在で40,471件です。経済産業省が最も多くて23,405件、国土交通省が8,715件、農林水産省が3,482件、厚生労働省が2,973件などになっています。業種としては製造業が圧倒的で20,501件と半数以上を占めています。
| 経営力向上計画のメリット
経営力向上計画にはいくつものメリットがあります。
メリット1 税制措置(1)
法人税や所得税の特例措置を受けることができます。生産性向上設備(A類型)と収益力効果設備(B類型)の2つがあり、即時償却か税額控除7%を選択して適用することができます。所得税の特例措置を受けるには生産性向上設備(A類型)でなければいけませんので注意が必要です。ただし、生産性向上設備(A類型)は工業会の証明書が必要です。
メリット2 税制措置(2)
固定資産税の課税標準の特例措置を受けることができます。税制措置(1)ではソフトウェアも対象になっていたのに対して、こちらはソフトウェアが対象外になっています。その他の要件は生産性向上設備(A類型)とほぼ同じです。この特例措置では、対象資産取得の翌年度から3年度分の固定資産税の課税評価が1/2に軽減されます。
メリット3 金融支援
日本政策金融公庫、信用保証協会、中小企業投資育成株式会社の金融支援で優遇措置を受けることができます。たとえば、日本政策金融公庫の新事業活動促進資金では、設備資金に準金利▲0.9%(特利C・特利3)で融資を受けることができます。信用保証協会では保証料軽減などの措置があります。
メリット4 補助金での優先採択
こちらが今回経営力向上計画の作成をお勧めする理由です。モノづくり補助金、省エネ補助金、事業承継補助金、持続化補助金などで加点事由や優先採択の措置を受けることができます。
| 経営力向上計画には何を書くの?
経営力向上計画は簡略化された事業計画ですから、現状分析から自社の強みや弱みを把握して強いところを伸ばしたり弱いところを補ったりするような事業内容を記入することになります。
具体的には、次のものを書きます。
1 事業者の名称など
2 事業分野と事業分野別指針名
3 実施期間(3~5年)
4 現状認識
(1)自社の事業概要
(2)自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向
(3)自社の経営状況
5 経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
6 経営力向上の内容
7 経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
8 経営力向上設備等の種類
これらの中で最も重要なのが2(2)の顧客・市場・競合の動向です。ニーズと客観的状況をしっかりと把握して、経営力を向上させる事業に説得力をもたせなければいけません。データを表にしたり写真を使ったりしてプレゼンテーションをします。
ここで現れた課題を6の経営力向上の内容で解決します。事業計画の内容はここに書きます。たとえば、人手不足→新規人材の雇用・育成、社会問題→社会的ニーズへの対応、顧客の不満→顧客ニーズへの対応などです。
また、5の経営力向上の目標は無理のないものにしましょう。たとえば、“5年かけて同業種の同規模の他社と同じくらいの労働生産性にする”などです。
| まとめ
1 事業内容+加点事由で勝負!
2 加点事由のおすすめは経営力向上計画!
3 経営力向上計画にはメリットがたくさん!
4 事業計画は数字を使って説得力を!